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119番は本当に必要な人のために。「民間救急」の役割とは
休日や夜間など、一般の病院やクリニックにすぐ足を運べない時に体調が悪くなったり怪我をするととても不安なものです。
そうすると、やはり思い浮かぶのは119番に通報して救急車を呼ぶということではないでしょうか。
愛知県名古屋市でも進む高齢化社会においては、119番による救急要請が増えています。
しかし、こうした要請の中には緊急性がそれほど高くないものもあるため、本当に必要とする人に影響を及ぼすという弊害が問題視されています。
そこで誕生したのが、『 民間救急 』なのです。
【目次】
①民間救急ってなに?消防救急(119)との違い
②寝台タクシーや介護タクシーとの違い
③乗務員・設備の規定と具体的な役割
1.民間救急ってなに?消防救急(119)との違い
民間救急とは
国土交通省運輸局の局長から一般旅客自動車運送事業の許可や認可を受けている業者が行っている民間の救急サービスです。
119番通報した場合に駆けつけてくれる消防救急との大きな違いは、消防救急は無料で利用出来るのに対し、民間救急は有料のサービスとなっている点があります。
「それなら有料よりも無料のサービスの方がいいや」と思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、119番通報による消防救急にはできないサービスが民間救急では提供できるという大きなメリットがあることを知っておきましょう。
例えば、消防救急の場合には、救命救急科が設置されている特定の医療機関へしか搬送することはできませんが、『民間救急』の場合には利用者や家族が指定する病院へ搬送してくれます。
また、高度で専門的な医療を行う急性期病院から、急性期を脱して慢性期病院へ転院する場合には、患者さんの容態に関わらず、119番の消防救急を利用することはできないため、患者さんや家族がタクシーや自家用車などで転院先まで患者さんを搬送することになります。
しかし『民間救急』なら、転院する病院までの搬送や、入院を終えて帰宅する時も搬送してもらえたり、また病院から老人ホームまでの移動などにも対応しています。
更に、『民間救急』では利用者が希望する病院が遠方にある場合でも対応可能ですし、遠方の両親を呼びよせる時に利用してもOKです。
さらには、旅行に行く時などプライベートなイベントの際にも利用することが認められています。
プライベートなイベントにおける交通手段として消防救急(119)を利用したら大変な問題になってしまいますが、民間救急ならOKなのです。
つまり、消防救急は本当に緊急を要する時にしか利用することはできませんが、民間救急は緊急時以外でも医療のニーズがある時に利用が可能なのです。
『民間救急』は、民間の業者が提供する有料サービスですから、どんな時に利用できるのかという定義は、業者によって異なりますし、大きな違いがあります。
一般的には、消防救急では不可能なサービスを提供していることが多いのですが、具体的なサービス内容や費用は業者ごとに異なるので注意しなければいけません。
また、『民間救急』は救急車としての機能も備えている分、運行するためには一定の基準が設けられています。
『民間救急』の乗務員は基本的に2名となっていて、どちらも所轄の消防署から患者等搬送乗務員の適任証を携帯しています。
そのうち、ドライバーは第二種自動車運転免許を持っていて、車両には所轄の消防署から発行された患者等搬送用自動車としての認定マークのシールが貼られています。
2.寝台タクシーや介護タクシーとの違い
では、民間救急と寝台タクシーや介護タクシーとの違いはなんなのでしょうか。
寝台タクシー
・タクシー会社が運営しているタクシー
・車内に車椅子や寝台を乗せられるスペースを確保している
・通常のタクシーのようにドライバーが1名で対応する
・利用する際の料金は走行距離や待機時間によるメーター料金となる
・料金設定は、車両の設備によって異なる
この場合、ドライバーの介護や医療資格は必須ではないため、万が一移動中に緊急事態が発生しても、残念ながらドライバーは対応することはできません。
また、車内には寝台や車いすを乗せられるスペースが確保されてはいるものの、医療用の搬送車というわけではないため、車内に医療器具は一切搭載されていないのが特徴です。
利用者の乗降に関しても、ドライバーは専門の知識を持っていないため、乗降のサポートは家族や医療機関のスタッフなどに一任されることになります。
介護タクシー(福祉タクシー)
・車椅子に乗ったまま乗降できるようなスロープや昇降機が設置されている
・車両にはミニバン車とワゴン車のような乗用車タイプがある
・車両によって乗り心地や設備が異なる
・車椅子を利用していない人でもサービスを利用できる
介護タクシーは、誰でも自由に利用できる訳ではなく、
介護のニーズがある人が対象のサービスです。
また、要介護1~5に認定されていれば利用資格があるというわけでもなく、
介護タクシーの必要性がない人は介護認定のレベルに関わらず利用不可となっています。
介護タクシーは、受診やリハビリなど医療機関への通院や、預金を引き下ろすために銀行に行ったり、役所での手続や選挙に行くといった日常的なニーズにも対応してくれるのが特徴です。
つまり、介護タクシーを利用する際には、緊急性はなくても利用が可能です。
利用することが認められている人なら限られた範囲の中で日常生活の利便性のために利用できる「運送サービス」ということになります。
『介護タクシー』は、介護福祉サービスの一環として提供されているサービスだと考えれば、分かりやすいかもしれません。
3.乗務員・設備の規定と具体的な役割
『民間救急』は、「民間の救急車」という位置づけになるため、車内には携帯酸素やパルスオキシメーター、点滴台など通常の救急車両に積載されている医療資材が積まれています。
乗務員は消防局が認定する講習を終了して適任証を携帯しているスタッフが原則2名常務することが義務付けられているため、タクシー系サービスのように、ドライバーが1人だけということもなければ、搭乗者に医療知識が全くないということもありません。
その点は、医療サービスがいつ必要となるか分からない利用者にとっては、大きな安心感と言えるでしょう。
さて、民間救急を利用する際に最も気になるのは料金ではないでしょうか。
業者によって料金設定は異なりますが、それぞれ国土交通省が定める寝台専用料金に基づいて計算されています。
・事業所を出てから帰庫するまでに走行した距離
・車両設備や看護師・介護員の付き添い料
・車両で利用した酸素などの消耗品
これらが、利用者が負担する費用に含まれることとなります。
事前に民間救急の利用を検討している場合には、業者ごとに料金設定が異なるため、事前に複数のサービスを比較検討しておくという方法がおすすめです。
医療機関からの搬送にも利用されることが多い民間救急では、医療スタッフから搬送に関する申し送りを受け、必要なスタッフが搭乗することが認められています。
また、搬送中に車内で酸素や点滴の投与など必要な医療行為を行うこともできるという点が、民間救急がタクシー系サービスとは大きく異なる点と言えるでしょう。
おわりに…
全国で急速に高まっている民間救急のニーズは、愛知県名古屋市も例外ではありません。
今後、民間救急のサービスが広く普及し、寝台タクシーや介護タクシーなどとの住み分けが確立されれば、本当に緊急を要する119番通報による消防救急を利用する人にとってもプラスの効果が期待できるでしょう。
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