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夜間頻尿が高齢者にもたらす影響とその対策とは?

夜中に何度もトイレに起きてしまう「夜間頻尿」は、高齢者にとって深刻な悩みの一つです。睡眠の質を下げ、転倒のリスクも高めるため、放置せず原因を知り、適切な対策をとることが大切です。
夜間頻尿とは?—高齢者に多い理由
夜間頻尿とは、就寝後に1回以上排尿のために起きる症状を指し、2回以上になると生活に支障をきたすとされます。高齢になると、夜間頻尿が増える背景には次のような要因があります。
まず、加齢による身体機能の変化です。腎臓の水分再吸収能力が低下し、夜間の尿量が増えることがあります。さらに、膀胱の容量が小さくなったり、収縮機能が弱まったりすることも、頻尿を招く原因です。
加えて、ホルモンの分泌にも変化が起こります。健康な若年者では、夜間に抗利尿ホルモン(バソプレッシン)が多く分泌され、尿の生成が抑えられますが、高齢者ではこのホルモンの分泌量が減少し、夜間でも尿が作られやすくなります。
原因の多様性-病気との関連にも注意
夜間頻尿の原因は加齢だけでなく、複数の疾患が関係していることもあります。代表的なものに以下が挙げられます。
- 前立腺肥大症(男性に多い):尿道が圧迫され、膀胱が完全に空にならず頻繁に尿意を感じる。
- 過活動膀胱:膀胱が過敏に反応し、少量の尿でも尿意を感じてしまう。
- 心不全や腎疾患:体内の水分代謝異常により夜間に尿量が増加。
- 糖尿病:血糖コントロール不良により尿の量が増加する。
- 睡眠時無呼吸症候群:無呼吸による酸素不足が心臓や腎臓に負担をかけ、夜間頻尿につながることもあります。
また、利尿作用のある薬剤(降圧薬など)を夕方以降に服用することでも、夜間の排尿回数が増えることがあります。
このように、夜間頻尿の背景には様々な病態が潜んでいることもあるため、自己判断で済ませず医師の診察を受けることが重要です。
高齢者の夜間頻尿に対する対策とケアの工夫
夜間頻尿の対策は、生活習慣の見直しと医療的アプローチの両面から行うことが効果的です。主な対策は以下のとおりです。
①生活習慣の改善
- 水分摂取のタイミングに注意:日中に十分な水分をとり、夕方以降は控えめに。
- カフェインやアルコールの摂取を避ける:利尿作用があるため、夕方以降の摂取は控える。
- 塩分を控える:過剰な塩分は体内の水分を保持し、夜間の尿量増加を招く。
②排尿日誌の活用
「いつ・どれくらいの尿量が出たか」「何回起きたか」を記録することで、原因の特定や治療計画に役立ちます。
③医療機関の受診と治療
泌尿器科では、前立腺肥大症や過活動膀胱に対する薬物療法が行われます。また、抗利尿ホルモン製剤などが処方されるケースもあります。
④安全対策
高齢者の場合、夜間の移動による転倒リスクも問題です。以下のような対策が推奨されます。
- ベッドサイドに小型照明を設置する。
- トイレまでの動線に障害物がないよう整理する。
- ポータブルトイレの設置を検討する。
これらの対策は、本人のQOL(生活の質)を保つだけでなく、家族や介護者の負担軽減にもつながります。
まとめ
高齢者にとって夜間頻尿は、単なるトイレの悩みにとどまらず、転倒リスクや日中の眠気、生活の質の低下といった深刻な問題を引き起こします。原因は加齢だけでなく、様々な病気や生活習慣が関係している可能性が考えられるため、早めの受診と適切な対策が求められます。日常生活の中でできる工夫と医療的支援を組み合わせて、安心で快適な夜を過ごしましょう。
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