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ケアまどニュース
「健康寿命」と介護予防
介護予防とあわせて知っておきたい「健康寿命」とは?
皆さんは「健康寿命」という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
日本では高齢社会化が進む一方で、生産人口はどんどん減っていってしまっていることから、高齢者も社会に出て「生涯現役でいる」ことが理想とされています。
心身が健康で、あるいは持病があっても病気とうまく付き合っていきながら、その人らしく活き活きといられる期間である「健康寿命」について、今注目が集まっています。
1.平均寿命・平均余命・健康寿命
健康寿命についておはなしする前に、混同されやすい類似語について知っておきたいと思います。
まず、「平均寿命」という言葉から考えてみましょう。
よく耳にする言葉ですが、いざ「どういうふうに算定されているの?」と聞かれると、首を傾げる人も多いのではないでしょうか?
実は、平均寿命というのは「0歳の子の平均余命」を指しています。
ますます分かりにくくなってしまったかもしれませんが、いわば平均寿命とは、
「厚生労働省が、年齢別死亡率を参考に、各年齢の男女があと何年生きられるか(平均余命)を算定したもの」を言うのです。
そのため、「日本人の平均寿命」を導き出したい場合には、「0歳児」の子の平均余命(生まれた瞬間から、あとどのぐらい生きられるのかの平均)を出せばいい、ということになります。
そうすると、今時の0歳児は「何歳まで生きられるか」を、過去のデータと見比べながらみてみましょう。
【平成29年】男性:81.09歳/女性:87.26歳
【平成02年】男性:75.92歳/女性:81.90歳
【昭和22年】男性:50.06歳/女性:53.96歳
この通り、約70年の間に、男女ともに30年以上の寿命が延びていることが分かります。
日本はやはり世界で見ても長寿大国と言われていますが、
問題は「どんな生き方が出来るか?」ですよね。
「人の生き方」という点において、寝たきりで過ごす10年と、自分の好きなことをしながら過ごす10年は大きく違うのではないでしょうか。
そこで注目されているのが、「健康寿命」なのです。
「健康寿命=日常生活に支障がなく、制限や不自由を感じずに健康的な生活を送れる期間」と考えながら、下記の調査結果についてみていきましょう。
平成28年の「健康寿命」についての調査の結果、は下記の通りになっています。
男性は71.19歳
女性が74.21歳
そして、平均寿命から健康寿命を差し引いた場合、
男性は8,84年
女性は12.35年
となり、平均寿命と健康寿命の間に8~12年程度の開きが出てしまっています。
これはどういうことなのでしょうか?
実は、この開きの年数。男性なら「8.84年」、女性なら「12.35年」が「介護が必要な期間」と言われているのです。
ですが、実はこの「介護が必要な期間」は、少しずつではありますが減少傾向にあります。
平成25年の調査時より男性0.18年、女性が0.05年、改善されていることが分かっています。
この理由として、主に下記があげられています。
①要介護状態になりやすい疾患である「脳血管疾患」が、生活習慣の改善によって減少している
②高齢者の社会参加の場が広がっていること
すなわち、生活習慣の見直しと同時に、高齢者になっても人との交流や社会参加することが、健康寿命を伸ばすコツになるということですね。
2.愛知県は「シニアが元気な県」
そんな中、実は「愛知県はシニアが元気な県で有名」だってご存知でしたか?
2016年に行われた厚労省の調査で、愛知県の女性の健康寿命は「76.32歳」であり、74.79歳という全国平均よりも約1.5年引き離した、堂々たる全国一位となりました。
この事実について、名古屋市出身のコラムニストであるペリー荻野さんは、女性自身のインタビューに「名古屋女性が健康寿命をけん引している理由」についてこのように答えていました。
①お出かけ好き
②お値打ちが好き
③おしゃべりが好き
「お値打ち」という言葉には、いわゆる「値切る」という意味と、「より安く買うための工夫をする」という一面があります。
名古屋女性は、如何にお得な買い物をするかと頭をフル回転させる慣習があるんですね。
なるほど、確かにこれはすごく頭を使いそうです!
ペリーさん曰く、名古屋のおばあちゃんたちはとにかく「好奇心が旺盛」だそうで、何かイベントがあると「見なければ損」ぐらいの勢いでみんな押しかけるそうです。
そうしたおばあちゃん達の行動力の支えとなっているのが、交通機関で利用ができる「敬老パス」。
「敬老パス」の特徴
・65歳以上が対象
・所得に応じた一定の金額を払えば市バスや地下鉄が無料になるそうです。
これは外出しないと損ですよね!
また、こうしたサービスが盛んなことから、おばあちゃんたちのグループによるお出かけはもちろんのこと、おしゃべりも盛んになります。
実はこの「おしゃべり」というのが、認知症予防において効果が高いのです。
よく男性よりも女性の方がストレスに強いなどと言われますが、実はその理由に「おしゃべりをするから」という原因があったのです。
盛んにおしゃべりをすることで、ストレス発散になり、同時に脳の活性化を促すことに繋がります。
脳を活性化させることで、「認知症予防」となるのです。
思えば、「お出かけ」も「お値打ち」も「おしゃべり」も、すべて脳を活性化させる行為ですよね。
日常の中にさりげない刺激があるだけでも、健康寿命は延びるのかもしれません。
その他、愛知県のシニアが元気な理由はたくさんありました。
愛知県では、シニアが活躍するための自治体からの応援もあります。
愛知県のホームページでは、「シニア予備軍向け社会参加啓発ガイドブック」というものも存在し、2030年代の高齢社会ピーク時に向けての準備も行われていました。
シニアが参加できるイベントなども多く、なるほど、確かに健康寿命が長くなる理由も不思議ではありません。
3.健康寿命を伸ばすには「介護予防」が大切
ここからは、「健康寿命」を伸ばす秘訣をみていきましょう。
もちろん、「健康的な生活」を送ることは大切です。
そして、先述したように名古屋のおばあちゃんを見習って「お出かけ」「お値打ち」「おしゃべり」、この「3O(3オー)」も大切と言えるでしょう。
その他にも、健康寿命を伸ばすための対策はあります。
それが「介護予防」です。
実は厚労省においても、「健康寿命を伸ばそう!」という取り組みをしています。
その中では「スマートライフプロジェクト」として個人で登録すると、健康を維持するための食事や活動を紹介してくれます。
参考例をあげますと、
「毎日10分の運動をプラス」
「1日あと70gの野菜をプラス」
「禁煙でタバコの煙をマイナス」
「検診・健診で定期的な健康のチェック」
などがあげられます。
それ以外にもメンバーに参加すると健康寿命を伸ばすためのeラーニングも受けられるようです。
名古屋市においては「介護予防」として、要支援の方向けに様々なサービスを提供をしています。
また、「自立の方(介護認定を受けていない方)」でも、名古屋市在住で65歳以上の方が利用できるサービスもあります。
一部の事業をご紹介しましょう。
「いきいき教室」
「地域サロン活動等支援事業」
「福祉会館認知症予防教室」
「高齢者はつらつ長寿推進事業」
「なごや健康カレッジ」
内容によって、教材費や交通費等の実費負担は別途必要になることはありますが、基本的な利用者負担はないので、気軽に活用してみましょう。
おわりに…
日本は長寿国と言われつつも、その内面に少子高齢社会を抱えているのが現状です。
最近では定年退職制度を設けない企業も増えてきており、生涯現役を謳っているところも少なくありません。
しかし、健康寿命1位に輝いた名古屋のおばあちゃん達から分かるように、人が健康で長く生きることの一番の秘訣は「楽しみがある」「ストレスがない」「毎日が刺激的」であることのような気がします。
今は様々な介護予防対策が練られていますが、一番の介護予防はもしかしたらご自身で見つけ出すのが得策なのかもしれません。
「自分が好きなことを自分らしく。自分が表現したい生き方で生きること。」これこそが何よりも健康の秘訣なのかもしれません。
また、介護施設や老人ホームでも色々な介護予防企画をしていたりしますので、そういった企画の見学をしてみるのもいいかもしれませんね。
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