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2019/12/30
コラム

年末年始の「高齢者事故」にご注意を!

 年末は高齢者の事故や怪我が多い 

 

平成27年度に行われた内閣府の調査によると、日本全世帯における65歳以上の高齢者だけの世帯は47.1%を占めているそうです。

こうした高齢者世帯が増えている昨今、年末年始に高齢者による事故報告が多発しているという情報があります。

 

一体、どうしてこうした事故は年末年始に集中しやすいのでしょうか?

 

新たな年を祝うお正月をみなが笑って過ごせるよう、どうすれば事故を少しでも防げるかについて考えてみましょう。

 

1.伝統的な風習「大掃除」の最中に怪我

大掃除中の怪我

 

大掃除の怪我は年齢関係なく起こしがちですが、特に身体機能が低下しつつある高齢者の方は要注意です。

「今まで出来ていたのだから、このぐらい出来るだろう」

こうした慣れによる慢心が、大怪我のもとに繋がることも多いからです。

 

例えば、東京消防庁管内における掃除中の事故による救急搬送件数12月が最多で、年代別にみると、60代以上が63%もの割合となっています。

事故の内容としては実に様々ですが、掃除のためにしゃがもうとして【転がる】とか、段差や高所作業による転倒・転落、掃除機のコードに足を引っかけるといったケースがあります。

どの事故も本人にしてみれば、「今までであれば問題なくできていた」というレベルのものでしょう。

 

「きっと大丈夫だろう」という気持ちで起こしてしまいがちな事故ばかりです。

 

こうした事例における怪我の度合いも様々で、捻挫等の軽症の人もいるかと思えば入院が必要な骨折の場合も、中には死に至るケースも少なくありません。

 

高齢者世代の方は、年末年始に家を綺麗に整理して新年を迎えるという大掃除の習慣が根強いため、年末に掃除をしない──というのは難しい選択かもしれません。

また、今まで何度も段差に昇ってきたけど何ともなかったことから、「今回も大丈夫」と思ってしまうのは、人のサガとしても仕方ないことでしょう。

でも、ここはご自身と、あとはご家族のことを考えて「安全最優先」をお薦めします。

 

万が一、大掃除に不安がある場合には、介護保険サービスや、生活支援サービスの活用を検討してみるのも良いかもしれません。

また、「お正月に向けて、ほんのちょっとした掃除をするだけ」という場合でも、くれぐれも転倒などのないように足元に気を付けてするようご注意ください。

足元にちょっとした障害物があるだけでも事故の元ですので、床には出来るだけ物を置かないのがポイントです。

 

2.火の不始末や暖房器具による火災

火の不始末や暖房器具による火災

 

『火』に関するついても、大きな事故になる可能性があり要注意です。

特にこの年末年始は寒さも厳しくなる時期ですので、石油ストーブに関する事故なども増える傾向にあります。

 

実際の事例に、70代の女性が石油ストーブに給油する際、消火を確認せずに給油してしまったために漏れた石油に火が引火して火事になったというケースがあります。

石油ストーブに給油する際には、念入りに消火を確認してから行うようにしましょう。

 

また、よく起こりがちなのはたばこの不始末です。

消防庁のデーターによりますと、たばこの火の不始末は、常に火災原因の上位となっているそうです。

喫煙習慣が長い高齢者の場合には、喫煙管理意識が低下してしまい、「手元が狂う」などの些細な出来事が原因で火災が引き起こされているケースもあるそうです。

 

習慣付いていること程、ささいな見落としで大きな事故になりかねないのが火の始末の怖いところです。

例えば仏壇でろうそくに火を灯す際に、衣服に引火してしまうケースもあります。

ろうそくで火をつける際には、くれぐれも袖に気を付けるようにしましょう。

仏壇の火は、つけたら消えるまでそのままにしておくという習慣の方もいらっしゃいますが、床に落ちたろうそくや、引火から火事へと発展するリスクが高いです。

お線香をつける際に使用したろうそくはその場で消すようにしましょう。

 

また、普段から料理をし慣れてはいるものの、お正月を迎えるにあたってさらに色々な料理を作ろうと夢中になっていた際も要注意です。

ガスコンロに鍋をかけたまま空焚きになってしまってそこから火事になるケースもあります。

お鍋をかけていたところまでは覚えていても、他の下ごしらえや、或いは急な来客があってそのまま鍋のことを忘れて火をかけたまま対応してしまうということも、日常の中で大いに起こり得る危険があります。

コンロの周りで作業をした時は、都度都度、火が消えているかを確認するよう、普段から習慣付けておいた方が良いかもしれません。

 

愛知県名古屋市内では高齢者の方の火災死亡者数が増えているとの情報もあります。

 

くれぐれも火の扱いには注意が必要ですね。

 

3.食べ物による窒息に注意!その対処法も。

 

 

食べ物による窒息とその対処法

 

お正月に一番多い事故例といえば『窒息』です。

一家団欒、楽しんでいる時に美味しいお餅が原因で大騒ぎになってしまうのは、ご本人にとっても大変つらいことと言えるでしょう。

 

実は、窒息が原因で亡くなる方は年間9000人で、不慮の事故の死因のトップです。

また、お餅だけでなく肉やパン、ご飯でも起こるので要注意です。

 

何故、このように高齢者の方に窒息が増えるのでしょうか。

通常は気管にものが入りそうになると咳嗽反射と言って咳をして吐き出そうとしますが、高齢になるとこの反射機能が低下していることが原因のひとつでもあります。

また、食べ物を消化させるための唾液が分泌量が少ないことや、歯のトラブルからよく咀嚼して呑み込むことができないということも、窒息の原因となっています。

 

万が一、窒息によって呼吸が完全に停止した場合、3分以内の行動が生死を分けます。

時間がかかればかかるほど脳死の危険性が上がってきますので、出来るだけ早い対処が必要とされます。

 

ものを喉につかえた場合、多くの人が首を手に当てたり声を出そうとします。

声が出る場合

をさせて食べ物が出るように促す
飲水は誤嚥リスクがあるためできるだけ避ける
・速やかに医療機関を受診する

 

声が出ない(詰まったものが出ないor呼吸音のみ)

・119番に通報して救急車を呼ぶ
・救急車が来るまでの間、異物除去心肺蘇生をして待つ

 

異物除去の方法には「腹部突き上げ法」「背部叩打法」があります。

腹部突き上げ法

異物が詰まった方の背中に廻り、手を組んで突き上げる方法
※この方法は妊娠している妊婦の方や骨がまだ未成熟な乳幼児には危険ですので絶対にしないでください。

 

背部叩打法

背中を強く叩く方法
※リスクが少なく、年齢性別に関係なく行えるため、子供や高齢者の施設でも行われる

 

とはいえ、こうした方法があるとはいえども、実際にそれを体験するのも、またそれを行うこともできるだけ避けたいですよね。

そのためには、出来るだけ普段からの食事の様子に注意し、お餅を喉につまらせないよう対策をしてから取るようにすることをお薦めします。

対策方法の一例

「唾液が出るようにゆっくり、じっくり噛む」
「食べやすい大きさに切る」
「呑み込む時はしっかりと、意識して飲む」
「常に喉をしめらせておく」
「食べている時の姿勢に注意する」

などがあげられます。

 

 おわりに… 

年末年始は、新しい年を迎えるためのとても大切なイベントですよね。

そのイベントの時に怪我をしたりしないよう、普段から自分の出来ること、出来ないことを判別するように心がけましょう。

また、介護施設や老人ホームにおいても年始の誤嚥事故にはくれぐれもご注意ください。