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ケアまどニュース
高まる「身近な生活支援」へのニーズ
・・【身近な生活支援】へのニーズの高まり・・
皆さんは、「介護保険内で、どこまで対応してもらえるのか」をご存知でしょうか?
昨今は少子高齢化の影響により、実は介護保険で対応できる範囲がかなり限定されてきてしまっているのです。
介護保険で対応できないサービスについて「介護保険外サービス」として普及することが、福祉産業においての急務となっています。
1.介護保険にはできないことがある
2019年10月、千葉の幕張メッセで開催された「第二回介護&看護EXPO」で、埼玉大学の田中理事長は以下のように述べています。
「2040年にかけて、地域の生活支援ニーズの急速な拡大が考えられる」
「食事や排泄などが自分でできていても、布団を干せない、ゴミを出せない、クリニックまで行けない高齢者が急増する」
では、ここで田中理事長があげている、
「布団を干せない」
「ゴミを出せない」
「クリニックまで行けない」
この3つ。介護保険サービスとして利用できるのかご存じですか?
実は、こうした行為はすべて「介護保険外サービス」になってしまうのです。
「え? ではやってもらえないの?」と不安になってしまうかもしれませんが、そうではありません。
介護保険外サービスとして利用することは可能です。
むしろ、今後は介護保険外サービスの活用が大切になってくると言えるでしょう。
では「何が介護保険内で何が介護保険外なの?」と思われる方もいらっしゃることでしょう。
保険内かそれ以外かはケアマネージャーや公的窓口が案内してくれるので、皆様の方では「こういったことも、介護保険外サービスとして受けられるのだ」とご理解頂けるだけで大丈夫です。
例えば、介護認定は無いけれど、足腰の筋力が弱くなってくると散歩や外出することもひとりで出るのが心配になる時がありますよね?
その際、何かあった時に1人で困らないように、誰かが一緒に同行してくれたら安心出来ませんか?
こうしたことを、介護保険外サービスとして利用することができるのです。
或いは、介護保険外サービスであれば介護保険者ご本人様でない同居者の方への援助も利用することができます。
訪問看護の場面でよく相談されるのが、介護認定をまだ受けていないご家族へのケアです。
高齢者のご夫婦で、ご主人の介護度が高かった場合、奥様の介護疲労にも目を向ける必要があります。
介護や家事から少し距離をおいて、主介護者がリフレッシュできるように介護保険ではフォローできない、【ご主人以外が利用する居室の掃除】や【庭の手入れ】などを支援します。
祭りごとに関わるようなことでも、対応が可能です。
お正月に【お節料理を作る】、【年末の大掃除】等も、日本の伝統的な習慣ですが、介護保険では認められていないため、保険外サービスで利用することになります。
介護保険外サービスというのは、ご本人はもとより、同居する家族のQOL(生活の質)の維持をするためのサービスであるとご理解ください。
例えば、病院から退院して自宅に戻る場合、「ADLの機能回復」や「ADLの自立」といった言葉を、病院関係者やケアマネージャーがよく使います。
このADLというのは「日常生活動作」そのもののことをいい、
「食べる」
「排泄する」
「移動する」
「寝る」
といった、本当に日常生活における最低限の基本機能のことです。
一方、最近の病院でも施設でも「ADLの機能維持は当然。さらにQOLの維持が大切」とスローガンをあげているところも少なくありません。
QOLとは「Quality of Life=その人自身が送る生活の質」のことを指します。
QOLの視点では、いくら介護保険で介護を受けられ、最低限の生活が成り立っていたとしても、ただ寝たきりでいることは、その人らしい生き方はではない。という考え方をします。
「その人が、いつまでも自分らしさを大切に生きていくよう援助する」これがQOLの維持であり、介護保険外サービスの役目であると言えるでしょう。
例えば、上記に挙げた「お正月だから、お節料理を作りたい」とか、「新年を迎えるために大掃除がしたい」といった場合、これは介護保険外にはなってしまいます。
しかし、そうすることで季節感や伝統を大切に守りながら、一年の締めくくりも出来、気持ちのメリハリもつきますよね。
これは充分介護外サービスで受けられることですので、お気軽に相談なさってみてください。
もちろん、介護保険外ですので実費にはなってしまいます。金額についてはご相談の時点で確認した方が良いでしょう。
加齢や病気によって、それまで当たり前に過ごしてきた日常のなかでは、気づけなかったことにハッとさせられることがあります。
多くの人が、いつもは自分の暮らしやすさ、生きやすさのために、様々な工夫をして、自分にストレスがかからないよう無意識に対応していたのだということが実感していくのです。
人は、「当たり前だったことが、当たり前に出来なくなっている」ということに気づくと、誰しも傷つきます。
そして、「いや、そんなことはない。出来るはずだ」と余計に焦ってしまいます。
でも、焦る必要も必要以上に悲しむ必要もありません。
老いや病気によって、できにくくなることもまた「当たり前」なのですから、そういう時は遠慮をせずに誰かの手を借りることをお薦めします。
2.ホームヘルパーの数にも限りがある
「元気なうちは、出来るだけ在宅にいたい」そう考える人は多いでしょう。
しかし、在宅にいた場合には「一定期間内に受けられるサービスの量に限りがある」というのも事実です。
また、近年の少子高齢化や福祉業界の深刻な人員不足などによって、ただでさえ限りのあるホームヘルパーの数にも大きな影響が出ています。
ホームヘルパーは時間単位で決められていることから、出来るサービスも時間内に限られてしまいます。
また、支援の内容は直接身体に触れる「身体介助」、家事など身の回りの「生活支援」など、いつ何を行うかは事前にプランとして決められています。
でも、実際に利用してみると当日になって、
「ああ、こんなこともやってもらいたかった…」
「こっちの方が困っていたのに…」
というように、予想していたことと現実の不一致が出てきてしまいそうですよね。
また、序文でも書きましたように少子高齢化の影響によって、介護保険でカバーできるサービスが現在限られつつあります。
施設入所ひとつにとっても、介護保険内で入所できる特養や老健、療養型医療施設は常に満床が続いているような状態で、今後も満床状態が続くと言われています。
そのため、昨今では民間型の有料老人ホーム、なかでも「住宅型」の有料老人ホームが増加しています。
住宅型有料老人ホームの位置づけは「在宅介護扱い」となりますので、老人ホームという名の家に住みながら、介護保険サービスを受けることはもちろん可能です。
昨今では特養や療養型医療施設になかなか入れないので、それなら自分が元気なうちに有料老人ホームで楽しく過ごそうなんて考え方の高齢者の方も増えてきているのも頷けます。
3.地域や企業のサービスを上手く活用する
自治体では、高齢社会の到来への対策として様々なサービスが準備されています。
そのため、ご自身が(或いは高齢のご家族が)お住いの地域でどのようなサービスが提供されているかを調べてみることをお薦めします。
例えば、愛知県名古屋市では様々な介護サービス、介護施設および老人ホームをご紹介している「検索サイト」があります。
こうしたところを通じて、自分が受けたいと思っているサービスは介護保険適応内なのか、或いは介護保険外サービスになるのかなどの相談をするのも良い手段であると言えるでしょう。
おわりに…
ひとえに生活するといっても、そこには様々な動作があります。
布団やシーツを洗うことにしても然り、ゴミ出しをするにしても然り、お風呂掃除をするにしても然りです。
今までは何気なくやっていたことでも、急に出来なくなることや、バランスを崩して転倒してしまうことは高齢者の方に起こりがちなことです。
しかし、出来なくなったからといって生活の質を落とす必要はないのでん。
そうしたことをフォローするのが介護保険サービスや介護保険外サービスなのです。
こうしたサービスをうまく使って、今までと変わらない生活の質を維持できるようにすることで、活き活きと余生を楽しむことができるでしょう。
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