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ケアまどニュース
老人ホームの人員基準の仕組み
愛知県名古屋市の老人ホームに関して調べる時は2つのケースが考えられます。
ケース①自分の親族が老人ホームへの入居を検討をしている
ケース②職員として介護施設や老人ホームで働こうと考えている
いろいろと調べていく中で、「人員配置3:1」という表記を目にしたことはないでしょうか?
当たり前のように書かれているこの表記の意味。
「何が何に対して3対1なのか」を正しく理解している人は少ないはずです。
老人ホームにはさまざまな種類がありますが、実際にどのようなものなのかを知ることで、1つの情報収集につながるはずです。
【Youtube】でも関連情報を解説しています
※人員基準とは
※ルールと計算方法
1.施設ごとの人員基準を比べる(特養・老健・住宅型・介護付き・サ高住)
一口に老人ホームといってもいくつかの種類があります。
それぞれ目的や入居条件が異なります。どのような施設で人員基準はどうなっているのでしょうか?
■ 特別養護老人ホーム(特養)
・公的な介護保険施設
・入居基準は要介護度3以上の高齢者
・重度の方が多く、認知症でも入所も可能
・看取りが可能な施設もある
・入居希望者が多く、待機期間が長期化しやすい
★人員基準は入居者3人に対し、介護または看護職員が1名
■ 介護老人保健施設(老健)
・軽度の医療ケアやリハビリが必要な高齢者を中心に受け入れる施設
・原則、在宅復帰に向けたリハビリ終了後は、自宅に戻ることが前提
★人員基準は入居者3人に対し、看護・介護職員合わせて1名以上
★常勤の医師1名以上の配置が必要
★理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は入所者100名に対して1名以上
■ 住宅型有料老人ホーム(住宅型)
・自立の方から要支援、要介護の方まで、入所基準は施設ごと異なる
・介護保険サービスを受ける場合、施設契約とは別に訪問介護事業所とも契約を締結
・施設独自に、介護保険外の実費サービス提供する施設もある
・老人ホームと訪問介護事業所が併設している施設も多い
・認知症患者の受け入れや看取りについては施設によって異なる
★法的な人員基準はなし(入居者の状況に合わせて対応できる人員の配置を行う)
■ 介護付き有料老人ホーム(介護付き)
・自立から要介護状態の重度の方まで受け入れ可能
・介護を必要な方向けの「介護専用型」と、自立の方も入居できる「混合型」がある
・住宅型とは異なり、施設サービスとして介護保険に基づくサービスが行われる
★人員配置は要介護者3名に対し1名以上の介護・看護職員の配置が必要
★要支援者については10名に対し1名の職員の配置が必要
■ サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・60歳以上の方が入居可能
・自立した方向けの施設が多く、認知症の方の受け入れの可否は施設により異なる
・専門の相談員が常駐し、安否確認と生活相談のサービスを受けられる
・介護サービスは、外部サービスを別途契約するか介護保険外の実費サービスを利用
★法的な人員基準はなし
このように、法的に基準が設けられた施設では、人員配置「3:1」が義務付けられています。
一方で、看護師や介護士など、職員の配置基準が設けられていない高齢者施設もあります。
その場合は「3:1」は適用されないことが多いのが現状です。
2.「人員基準」が表す本当の意味とは
人員基準の最低ラインとされる「3:1」とは、
入居者3名に対して常勤職員1名
であることが前提ですが、施設で働いている人は常勤ばかりではありません。
パート職員は働いている時間に応じて計算します。
具体的には、常勤の職員と非常勤の職員の勤務時間を合算し、常勤の勤務時間を基準にして計算する方法を用います。
これを「常勤換算」といいます。
常勤換算人数の算出は、下記の方法で行うことができます。
常勤職員の人数 + ( 非常勤職員の勤務時間の合計 ÷ 常勤職員が勤務するべき時間 )
例えば、就業規則による常勤の勤務時間が週40時間の場合でみてみましょう。
■ Aさん 週40時間
■ Bさん 週40時間
■ Cさん 週30時間
■ Dさん 週20時間
これを上記の式に当てはめてみます。(※小数点第2位以下は切り捨て)
2 (Aさん+Bさん)+{( 30時間+20時間 )÷ 40時間 )}
= 2 (Aさん+Bさん)+1.25(Cさん+Dさん)
=3.2
この場合、計算上の算常勤換は「3.2:1」となります。
ただし、看護職員も介護職員もシフト制で勤務していますので、入浴・食事・排泄介助など多くの介助を必要とする時間帯は人員配置は多くなります。
反対に、入居者様が就寝している夜勤帯の職員の数は減少します。
1日の間で職員の数は増減がありますが、
常勤換算をして「3:1」の原則が守られていれば問題ない
ということになります。
現在の介護施設で問題となっているのが夜勤の人員基準です。
1名で勤務を行う例もあり、スタッフの負担は非常に大きいものとなっています。
3.具体例で考えてみよう
その① ある施設の介護職員のシフト体制
■ 早番:5:00~14:00
■ 中番:9:00~18:00
■ 遅番:11:00~20:00
■ 夜勤:17:00~9:00
この施設の場合は、シフトを見ると完全な交代制ではなく、何人かのスタッフが重複して働いている時間帯があります。
その時間帯はマンパワーを必要とする時間帯であることがほとんどです。
食事介助・入浴介助・排泄介助など入居者が多ければ多いほど、介護職員の人数は必要になります。
またレクリエーションや行事がある時には、パートさんの人数を増やしたり、常勤職員の勤務時間を変更したりして対応することがほとんどです。
利用者の安全の確保と、質の高い介護を行うためには、一定以上の職員の確保が必要です。
ぎりぎりの人数での運営は人件費がかからないかわりにリスクを伴うのです。
その② 人員基準「3:1」の例
■ 要介護の入居者が60名
■ 常勤者18名
■ 常勤換算1=40時間/週
■ 人員基準=3:1
Q. この場合、週20時間勤務のパート職員は何名必要か
A. 4名
週40時間が常勤換算1となるため、週20時間のパートは常勤換算すると1人で0.5の計算になります。
人員基準3:1を満たすには、常勤換算で合計20必要になるわけですから、20時間勤務のパートが4名いれば「3:1」となります。
その③ 人員基準「2.5:1」の場合
介護付き有料老人ホームの場合、人員基準が「2.5:1」達している場合は、「介護費の上乗せ徴収」が認められています。
これは「3:1」よりも手厚い介護サービスが行えるからという理由です。
介護業界の問題として常に挙げられる人員不足は、介護サービスの質の低下だけではなく、職員の士気の低下にも繋がる可能性があります。
負担が増えればストレスがかかり、報道されている入居者への虐待などの問題にもなりかねません。
介護職員の賃金に関してもたびたび国会で問題になっていますが、低基準であればあるほど職離れがおき、資格を保有していても働かない、介護業界とは別の業界で働くと言った現象も起きています。
おわりに…
超高齢社会が案じられている日本では、介護サービスなくしては成り立たない部分もたくさんあります。
介護サービスを受けるだけではなく、QOLの質を高めたサービスであることが大前提ですので、マンパワーの確保は急務といえるでしょう。
老人ホームの形態は多様化していますが、どの施設でも利用者ファーストでなければいけません。
人員基準「3:1」だけに囚われず、質の良いサービスを提供することがこれからの介護業界の課題といえるでしょう。
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