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2019/10/07
コラム

老老介護で起こりやすいトラブルと解決法

かつては二世帯や三世帯同居の家庭が多くありました。

しかし現代では核家族化や高齢化が進み、一人暮らしや夫婦二人暮らしのお年寄りが増えています。

愛知県名古屋市の調査によると、2019年8月時点における名古屋市の一世帯当たり人口の平均は、2.1人でした。

もちろん、子どもと同居している世帯も無い訳ではありませんが、それ以上に一人暮らしと二人暮らしの世帯が多いことが伺える調査結果となっています。

 

そしてこの割合は年々増えており、今後も増加すると考えられます。

こうした状況のなか、配偶者や年老いた子どもが親を介護する、『高齢者による高齢者の介護』が大きな社会的課題となっています。

 

将来、自分が老老介護を行ったり受けたりする可能性もあり、誰もが他人事とは言えない問題です。

老老介護について今から知識を得たり、将来老老介護が必要になったらどうするのかを考えておくと、いざというときに慌てずにすむのではないでしょうか。

そこで今回は、自分や家族の老後をどう過ごせばいいのかを考えるために、

老老介護の現状や問題点、予防策・解決策についてお伝えします。

【目次】

①増加する老老介護とは?
②老老介護の問題点とは
③予防策や解決策はあるのか

 

①増加する老老介護とは?

 

 

老老介護とは?

老老介護」とは、老人が老人を介護することを言います。

厳密にいうと、65歳以上の高齢者が、65歳以上の高齢者のことを介護することですが、一般的には年老いた人が、ご老人を介護することを指します。

例えば70歳の妻が75歳の夫を介護するケースや、65歳の息子が90歳の母親を介護するケースなど、家庭によってさまざまな形で介護が行われています。

 

厚生労働省が平成28年に実施した国民生活基礎調査をみてみましょう。

在宅介護を行っている世帯全体のうち、高齢者が介護している割合は、

約5割が、65歳以上が主介護者となる「老老介護

約3割が、75歳以上が主介護者となっている「超老老介護

となっています。

 

②老老介護の問題点とは

 

 

老老介護の問題点

 

では、老老介護の何が問題とされているのでしょうか。

介護を受ける方の要介護度など、状況や体調にもよりますが、一般的には寝たきりになると、ベッドから抱えおろしたり、車椅子に乗せたり、体を拭いたり、着替えさせたり……と、かなりの重労働になります。

 

しかし介護者が高齢者の場合、介護する人自身の体力の衰えや身体の機能低下がみられる場合が多いのです。

これに加えて精神的なストレスを、常に抱えることになります。

 

その結果、要介護者だけではなく、介護者が疲れ切って介護ができない

お互いに介護が必要なのに、誰も介護をする人がいなくなるという問題が発生することがあるのです。

 

また、精神的に追い詰められると、ストレスのはけ口として要介護者を虐待することもあり、これも大きな社会問題となっています。

ニュースでもときおりみかけますが、最悪の場合は要介護者を殺害するなどの事件に発展することもあるのです。

それほど「老々介護」では、当事者が追い詰められていると言えます。

 

強度のストレスは認知症の原因の1つという研究報告もあります。

自宅にこもって誰とも会わずに介護をしている老人は、とても孤独で認知症になりやすいのも問題点の1つです。

 

介護をする高齢者、介護を受ける高齢者ともに認知症になっている状態を、

認認介護」といいます。

これは、老人介護のなかでも、特に深刻な状況とされています。

 

若い人でも認知症の高齢者の介護は、とても大変です。

なぜなら「認知症」になるともの忘れが起こると同時に、判断する機能や認識する機能が衰えるからです。

 

自分で食事や排せつをするなどの、基本的な生活が送れなくなります。

体力があるお年寄りは徘徊をして迷子になったり、事故に遭ったりする恐れがありますから、目が離せないのです。

また介護を拒否したり、混乱やパニックによる暴力や暴言を介護者にぶつけてしまうこともあります。

 

このように、認知症高齢者の介護は、とても難しいのが特徴です。

 

また、認知症の症状のなかには食欲の低下がありるため、食欲がなくなって栄養失調になると、命にかかわります。

さらには調理中の火の消し忘れによる火事や、高齢者を狙った悪徳商法にだまされるなど、認知症の人にはさまざまなリスクがあります。

介護をする側も認知症にかかる認認介護では、これらの危険が倍増します。

 

③予防策や解決策はあるのか?

 

 

老老介護の予防策や解決策

 

認知症自体を予防するためには、散歩やウォーキングなどの軽い運動を行う、栄養バランスのとれた食事を心がけるなど、健康と体力維持を目指しましょう。

趣味やご近所の人など仲間を作って出かけ、家に閉じこもらないことも認知症の予防には重要です。

 

名古屋市では介護予防にも取り組んでおり、要支援の人には介護予防の訪問サービス通所サービスを提供しています。

また、要支援ではないお年寄りに対しても65歳以上を対象に、いきいき教室福祉会館認知症予防教室なごや健康カレッジなどなど、さまざまな催しを行っています。

 

もし「老老介護」や「認認介護」に直面した時に最も大切なのは、

自分一人で抱え込まないことです。

 

子どもや兄弟姉妹、親戚と話し合って、それぞれがどのような支援ができるかを考えましょう。

遠方で介護ができない身内には、お金を支援してもらったり、若い世代の子どもには体力が必要な介護をお願いするなど、一人だけで介護をするのだと思い込まないことが大切です。

 

しかし、兄弟姉妹同士で介護を押し付け合うなど、話し合いがうまく進まなくなることもあります。

このような場合は、行政の支援を頼りましょう。

 

名古屋市でもさまざまな介護サービスを提供していますから、まずは近くの区役所に問い合わせて、どのような支援やサービスが受けられるのか相談しましょう。

自治体の介護サービスは、役所などで要介護度の認定を受けて、要介護度をもとにケアプランを作成してもらえば、プランに基づいた介護サービスを受けることが可能です。

利用できる介護サービスは要介護度によって異なりますが、自宅に介護士や看護師が訪問して介護などを行う訪問サービス、施設に通って昼間の介護やお世話をしてくれるデイケアなど、さまざまな介護支援サービスが用意されています。

また、老老介護の負担があまりにも重いようなら、老人ホームなど介護施設の利用も検討してみましょう。

 

おわりに…

老老介護は現在、大きな社会問題となっており、さまざまな苦労や不安、問題を抱えている家庭が少なくありません。そして、自分一人で問題を抱え混んでいる人が多いのも現状です。

介護は一人で行うのではなく、地域ぐるみで行うというのが、現在の介護・福祉に対する考え方です。

家族などの身内の助けを得たり、親戚に相談したり、ご近所の知り合いやお友達に愚痴を聞いてもらうだけでも、心が軽くなることがあります。

また、2000年からスタートした介護保険制度についても、詳しい内容を知らない方が多いのではないでしょうか。行政の支援サービスも上手に活用しましょう。

老老介護はこの先、自分がかかわる可能性もある身近な問題です。そのときになって慌てないよう、老老介護が必要になったときのために、兄弟姉妹など身近な人と今から話し合っておくことも大切ではないでしょうか。

また、利用できる行政サービスについても、調べておくと安心です。