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ケアまどニュース
高齢者と薬の付き合い方を考える
愛知県名古屋市の介護施設や老人ホームに入居されている高齢者の方がたくさんの薬を飲んでいることは珍しくありません。
持病のある方の常備薬や急性期に対症療法として処方された薬など、さまざまな薬をたくさん飲んでいるという方は多いでしょう。
薬を服用することで症状が改善したり、持病の悪化を食い止めることができるのであれば、高齢者の方にとって薬はこの上ない安心材料になり得ます。
その一方で服薬に関するトラブルが多いのも事実。
ご自身で服薬の管理をされている高齢者の方も、介護の現場で服薬管理を行っている方も、高齢者の方が薬とどのような付き合い方をするべきかを知るのは非常に大切なことです。
1.薬と上手につきあうために知っておきたいこと
高齢者の方が薬と上手に付き合うために知っておきたいことは3つあります。
その① かかりつけの薬剤師・薬局との連携
高齢になるとさまざまな病気が発症し、多くの医療機関を受診するケースも増えてきます。「こんなにたくさんの薬を飲んでも大丈夫なのか?」と不安になることもあると思います。
そんなときに力になってくれるのがかかりつけの薬剤師や薬局です。
多くの薬局では複数の医療機関の処方箋を受け付けています。病院・診療所・歯科医院などいくつもの医療機関を受診している場合でも、1つの薬局に管理をしてもらえば安心です。
薬局を初めて利用するときには既往症や現在の病気の状態、体質などを細かく聞かれます。
そこで各個人に合った薬の服用管理を行ってくれるのです。同じような薬が処方されている場合は教えてくれたり、副作用などが出現した場合も相談に乗ってくれます。
その② 自分の服用している薬への理解
かかりつけの薬局で勧められるのはお薬手帳の活用です。
処方された薬・日時・効能などが記載され、現在どの薬をどのくらいの期間飲んでいるのかなどが一目でわかるようになっています
お薬手帳の中には普段使用している市販薬や健康食品などについて記載できる欄や、薬に対する質問などを書き留めておける機能もあります。
自分の服用している薬について説明も書かれていますので、お薬手帳をフルに活用し、自分の服用している薬がどのようなものなのか、副作用や注意しなくてはいけない点はあるのかなど、薬への理解を深めるためにはとても便利なものです。
また、ご家族の方が現在の様子を知るにも非常に有効なツールとなりますので、お薬手帳を活用してみましょう。
その③ 薬の服用に関する正しい知識
薬の服用にはいくつかの決まりがあります。
【 食前 】:食事の30分前
【 食後 】:食事の30分後
【 食間 】:食事の2時間から2時間30分後
薬の効能によって飲む時間帯が決められていますので、決められた服用方法を間違えないようにしましょう。
また起床時や空腹時などを指定されたり、服用後にすぐ横になってはいけないもの、水以外のもので服用してはいけないなど、薬によって細かいルールが決められているものもあります。
保管方法も下記のように、薬によってさまざです。
【冷所保存】:冷蔵庫で保管した方が良い薬
【遮光保存】:直射日光に当たらないように保管する薬 etc…
わからないことがあれば自己判断せず、薬剤師に確認することも大切です。
薬の服用に関しては、正しい知識を持ち、実践するようにしましょう。
2.正しく服薬するための工夫
その① お薬カレンダーの活用
毎日飲んでいたとしても、薬を飲み忘れるのはよくあることです。時間がずれても飲めるお薬であれば良いのですが、中には必ず服用しなくてはいけないというお薬もあります。
そんなときに活躍してくれるのが、お薬カレンダーなどの分包です。
多くのお薬カレンダーやケースなどは、日にちと朝昼晩に区分され、飲まなければいけないお薬は、可能な限り1つの袋にまとめるようにします。
そのため目に付くところに置いておけば、飲み忘れや飲みすぎなどを防ぐことができます。
また、錠剤を半分にしなくてはいけない場合や、自分で量を調整しなくてはいけない場合などは、あらかじめ処方される時点で薬剤師に相談すれば、自分に合った解決方法を教えてくれます。
その② 誤嚥を防ぐゼリーの活用
また高齢になると飲み込む力が弱くなり、誤嚥を起こすことが増えてきます。
そのため水で飲みにくい場合などは服薬ゼリーを活用するのも1つの方法です。とろみがあることで飲み込みやすく、また薬を包んでくれる効果もあるので飲みやすさもUPします。
味も柑橘系など飲みやすい風味がついている商品が多いので、水ではむせて飲みにくいという方はぜひ試してみてください。
その③ 家族やヘルパーに助けてもらう
自分一人で薬の管理が難しい方の場合は、ヘルパーさんや家族に協力してもらうと良いでしょう。
ヘルパーや家族が声掛けや介助ができる時間に合わせて薬の服用時間を調整することができることもあります。医師に相談すれば服用回数を減らしてくれたり、服用の量を調節してくれます。
3.必要以上に薬に依存的な人には「プラセボ効果」を活用するという手も
高齢者の方の中には、認知症などが原因で薬に対する執着が強くなってしまうことがあります。
薬は用法・容量を守って服用しなくてはいけません。それを守らなければ重篤な副作用が出てしまったり、反対に病気を進行させてしまうこともあるのです。
■ 薬を飲まないと具合が悪くなる
■ 薬を飲むことで安心感を得られる
■ 睡眠薬などに強い依存がある
■ 痛み止めがないことで「痛くなったらどうしよう」という不安を持つ
上記のような理由で必要以上に薬を飲みたがったり、認知症などにより服薬の記憶を忘れてしまうことで薬に対する執着が異様に強くなってしまうことがあるのです。
そこでそのような高齢者の方にお悩みのご家族や介護者の方に試してほしいのが、
『プラセボ効果』というものです。
■ プラセボ効果とは
偽薬を使って薬に対する執着を和らげるもの。害のない「薬のような形状の食品」を飲んでもらうことで、薬に対する執着や介護者・家族との不要な軋轢を回避することが可能。
薬を飲みたがる方は薬を飲めば安心します。
ですが、薬は余分に服薬して良いものなどありません。
プラセボ=偽薬を使うことで、薬を飲みたい高齢者は精神的に満たされるでしょう。
薬のやり取りで気をもんでいた介護者や家族は気持ちが楽になりコミュニケーションも円滑になる場合もあるのです。
現在では錠剤のプラセボのほかに、飲んでも支障がない空のカプセルや顆粒に見立てた食品などもあります。
プラセボ効果をうまく利用することで、高齢者の方の不安を取り除き、正しい服用を守ることができるのです。
おわりに…
高齢者の方の薬との付き合い方は簡単なものではありません。また多くのお薬を飲み合わせることで思わぬ副作用がでるケースなどもあります。
家族や介護者の方が管理できる場合は別ですが、高齢者の方個人で管理しなければいけないことも少なくありません。
薬と上手につきあうために大切なのは、自己判断をしないことです。不明な点については必ず薬剤師に相談し、医師への判断を仰いでください。
最近のニュースでは、錠剤をシートから出さずにそのまま服用してしまい、喉を傷つけてしまった高齢者のケースなども報道されています。家族や介護者は安全に薬を服用できるようなツールの利用などを積極的に取り入れてみましょう。
そうすることで薬に関する事故も減り、無用な副作用の出現なども抑えることができるのです。
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