高齢の親を介護する際、遠距離で介護を続けるか、それとも親を呼び寄せるかで悩む方も多いでしょう。それぞれにメリットとデメリットがあり、家庭の状況によって最適な選択肢は異なります。本記事では、遠距離介護と呼び寄せを比較し、それぞれの特徴や選択肢を検討する際のポイントを解説します。

遠距離介護と呼び寄せはどちらが良い？

結論としては、言い切ることが難しいです。どちらが最善かはそれぞれの家庭や親の状況によって異なるからです。どちらにもメリット・デメリットがあるため、家庭の事情や親の意向を十分に考慮し、最適な選択をすることが大切です。

親を呼び寄せるメリット・デメリット

遠距離介護と親を呼び寄せる選択肢には、双方にメリット・デメリットがあるため、親と自身の状況の両方を考慮し、慎重に検討する必要があります。本章では、呼び寄せる場合の具体的なメリットとデメリットや、遠距離介護を勧められる場合について解説します。

メリット

・日々の様子を直接確認することで、体調の変化にいち早く気づけるなど、心身状態を把握できる
・近距離で暮らすことで、親の緊急事態にも迅速な対応ができる
・帰省するための費用や移動時間がかからない
・地域の介護サービスを利用することで、介護事業者と連携しやすく、サポート体制を整えやすくなる

デメリット

・頻繁な接触が負担となり、距離の近さにストレスを感じやすい
・慣れ親しんだ土地を離れることが、親にとって心理的負担となる
・働きながらの介護では、親が日中一人で過ごす時間が増える可能性がある
・互いに生活スタイルが大きく違うことが多く、同居の場合は親、配偶者、孫それぞれが配慮する必要があり、生活スタイルの違いを合わせるのが大変

遠距離介護も可能と思われる場合

・認知症の症状がない、または軽度
・要介護度が低く、自立して生活ができている

遠距離介護を続けるために最も重要なことはコミュニケーションをとることです。
離れていてなかなか会えないため、親の動向はわかりません。日頃からコミュニケーションをとることを心がけましょう。
家族だけでなく周囲の人とも普段からコミュニケーションを取るようにしましょう。
そうすることで、普段から気にかけてくれたり、緊急時に連絡がとりやすくなります。

遠距離介護と呼び寄せの折衷案

遠距離介護と呼び寄せの中間として、双方のメリットを活かした折衷案を検討することも有効です。本章では、具体例を紹介します。

・近居
同居ではなく、近くに住んで介護をすることを言います。子どもが親の近所に引っ越したり、子どもが住んでいる近くに親を呼び寄せたり、近くの施設に入居してもらうということです。施設入居なら遠距離のままでもよいのではないか、という考え方もありますが、近距離であれば面会にも行きやすく、お互い顔を見る機会が減ることも避けられるでしょう。

また自立度が高く、「施設入居はまだ気が進まない」という場合は、始めから老人ホームを利用するのではなく、高齢者向け住宅へ転居するという方法もあります。

・ショートステイの活用
一時的に施設に預けることで、介護者が休息を取る時間を確保できます。親も、新しい環境での社会的な交流を持てるため、精神的な刺激にもなります。

親を呼び寄せる際の確認事項

親を呼び寄せる場合には、以下の点を確認しておきましょう。

・本人が納得しているか：親が本当に呼び寄せられることを望んでいるか、意思を十分に尊重し、同意を得る必要がある
・住み続けられるか：新しい住環境が親にとって快適で、長期的に生活可能かを確認する
・施設がそろっているか：介護施設や医療機関が充実している地域かどうかを事前に調べる

まとめ

遠距離介護と呼び寄せのどちらを選ぶかは、それぞれの家庭や親の状況によって異なります。呼び寄せは、安心感や緊急時の対応に優れていますが、親の意思や生活環境への配慮が重要です。近居やショートステイの活用などの折衷案も視野に入れ、より良い選択を検討しましょう。

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