親の介護が必要になり、老人ホームへの入居を検討する際、最も気になるのは「費用は誰が負担するのか」という問題です。老人ホームの種類やサービス内容によって費用は大きく異なり、家計に与える影響も無視できません。本記事では、老人ホームの費用負担や相場、利用できる補助制度について解説します。

老人ホームの費用は基本的に親負担

老人ホームの費用は、基本的に入居する本人（親）の資産や収入から支払うのが一般的です。しかし、親の資産や収入が十分でない場合や急な入居が必要な場合は、家族が負担をサポートすることもあります。そうならないためにも、親の資産状況は正確に把握しておきましょう。

把握しておきたい親の資産状況は、以下のとおりです。

・年金収入の状況
・保有しているすべての銀行口座
・株式などの有価証券の有無
・所有不動産の有無
・生命保険の契約有無
・退職金や年金以外の収入
・借入金などの負債の状況

老人ホームの費用相場

老人ホームには公的施設と民間施設があり、それぞれ費用が大きく異なります。施設ごとにサービスや設備が異なるため、費用と内容の両面を考慮しましょう。

公的施設は費用が抑えられる一方で、入居希望者が多く待機期間が長くなることがあります。

＜公的施設一例＞
・特別養護老人ホーム（特養）：月額5万〜15万円程度。公的施設のため、比較的安価に利用できる
・介護老人保健施設（老健）：月額8万〜15万円程度。医療的ケアやリハビリが受けられる
・ケアハウス（軽費老人ホーム）：月額6万〜15万円程度。自立した生活を支援する

＜民間施設一例＞
・介護付き有料老人ホーム：月額15万〜30万円程度。入居一時金が数百万円〜数千万円かかる場合もある
・住宅型有料老人ホーム：月額15万〜30万円程度。介護サービスは外部業者を利用する
・サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）：月額10万〜25万円程度。見守りや生活支援サービスが充実している

民間施設は、サービスや設備が充実している分、費用が高額になる傾向があります。

※あくまでも相場であり、施設によって費用は大きく異なります。

費用負担を軽減できる補助制度

老人ホームの費用は、利用するサービス次第で高額になる場合があります。本章では、費用負担を減らす補助制度について説明します。

特定入所者介護サービス費

特養や老健などの公的施設でかかる居住費や、食費の自己負担分を軽減する制度です。所得に応じて負担額が設定されており、所得が低い方ほど負担が減ります。市区町村への申請が必要で、支給対象や負担額は所得や資産状況に応じて変わります。

高額介護(予防)サービス費

介護保険サービスの自己負担額が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。所得に応じた月額の上限額が設定されており、経済的負担を軽減できます。

高額医療・高額介護合算制度

同一世帯で支払った医療費と、介護保険サービスの自己負担額の合計が基準を超えた場合、超えた分が払い戻される制度です。医療と介護の両面で費用がかかる方にとって、非常に有効な制度です。ただし基準を500円以上超えない場合は適用外となります。
また同一世帯内でも、一方は後期高齢者医療保険、一方は国民健康保険、など合算する対象の加入する保険がそれぞれ異なる場合は、合算できません。

介護保険料の減免制度

所得が一定基準以下の方に対して、介護保険料の減額や免除が行われる制度です。
条件をクリアし減免措置を受けられた場合、介護保険料は最大で7割程度安くなります。各自治体によって基準や内容が異なるため、事前に確認しましょう。

各自治体による助成制度

福祉用具の購入や住宅改修費の助成など、自治体ごとに独自の助成制度を設けている場合があります。地域の窓口で相談することで、活用できる制度が見つかるかもしれません。

まとめ

老人ホームの費用は、基本的に親自身の資産や収入で負担しますが、状況によっては家族がサポートする場合もあります。公的施設と民間施設では、費用やサービスに大きな違いがあり、各種補助制度を活用することで経済的な負担を軽減できます。家族で話し合いながら、無理のない計画を立てて、予期せぬ事態にも柔軟に対応できるよう備えましょう。

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