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ケアまどニュース
介護事業所への実地指導の『チェック項目の絞り込み』標準化へ
介護サービスを提供する会議事業所では、
通常、数年に一度の頻度で『実地指導』と呼ばれる行政チェックが入ります。
愛知県名古屋市の介護施設においても、この実地指導は例外ではありません。
行政からのチェックというとパニックになってしまう事業者は多いのですが、
これはサービスの向上を目的として行うものなので、
介護施設や老人ホームなどの施設側にとってもメリットがありますし、
利用する側にとっても大きなメリットが期待できるのです。
ここでは、介護施設や老人ホームへの実地指導についてご紹介しましょう。
1.監査とは違う?「実地指導」とは何なのか
愛知県名古屋市の老人ホームをはじめとする介護施設では、
数年に一度の割合で実地指導を受けています。
これは行政が施設やサービスをチェックして、
適切にサービスが提供されているかを確認したり、
サービスの改善のために直接的な指導を行ったりする制度です。
行政からの指導というと、不手際や不十分な所を厳しく指摘されて
施設が閉鎖されてしまうのではないかとその言葉の響きから
不安を感じてしまうことがあるかもしれません。
しかしこれは、もしかしたら
実地指導と監査を混同していることによる誤解なのかもしれません。
実地指導と監査の違いをご説明しましょう。
その① 実地指導とは
行政の調査員が事業所に足を運び、現場で直接的にチェックした上で、
サービス改善のためにはこうしたら良いのではないか、
というアドバイスをするというものです。
そのため、行政ではすべての介護事業所を対象に、
定期的に実地指導を行っていて、名古屋市も例外ではありません。
具体的な頻度に関しては、厚生労働省では6年に一度以上となっていますが、
自治体によってはこの頻度より間隔が短いケースもあれば、
逆に長く空いてしまうケースも少なくありません。
自治体によって介護施設の数が大きく変わるため、
間に合わないケースもあるのです。
しかし、管轄するエリアにある介護サービス事業所全てが対象となるので、
順番に行われているのが実地指導の大きな特徴です。
その② 監査とは
すべての介護施設を対象にして行うものではありません。
監査というのは、法律に違反している疑いがある施設や、
不正行為を行っていると疑われる施設を対象に行うものです。
そのため、監査が入る連絡はいつもギリギリなのが特徴です。
その理由は想像するに難しくはありません。
不正を行っている施設に時間的な余裕をたっぷり与えてしまえば、
監査を行う日時までに不正や不法な行為を隠蔽するかもしれません。
そのため、施設側が対策ができないように
監査の予告は前日とか当日の朝など、直前に行われるのが一般的です。
ちなみに、実地指導の場合には1か月前には予告をした上で
調査員が現場を訪れる仕組みとなっています。
監査が入るということは、
何かしらの疑いをもたれている場合が多いのですが、
もしも監査によって不正な行為や法律違反などが見つかった場合、
いったいどうなるのでしょうか?
もちろん、ケースバイケースで対応は異なりますが、
指導してその場で改善できるものは指導という警告となり、
悪質な場合やその場ですぐに改善できない内容に関しては、
行政処分の対象になる可能性もあるのです。
例えば、指定の取り消しなど重たい行政処分が下されてしまう
ということもありえるのです。
もしもこれから介護施設を探す場合には、
監査が頻繁に入るような施設は避けたほうが良いかもしれません。
監査はすべての施設に入るわけではないので、
クリーンな運営をしている施設なら、
監査が何回も入ることはないでしょう。
2.実地指導の内容とは
実地指導の内容は、愛知県名古屋市も含めて全国で大きく異なることはありません。
具体的な内容としては、大きく分けると運営指導と報酬請求指導に分けることができます。それぞれを分かりやすく説明しましょう。
その① 運営指導
介護サービスの内容や高齢者への対応などを観察し、
高齢者と関わるスタッフに対して指導を行います。
介護施設の中には、高齢者虐待をしたり正当性のない身体的拘束をする施設も
残念ながら存在しています。
そうした行為を見つけて指導するとともに、
そうした虐待的な行為が与える影響をしっかり理解してもらい、
防止に向けての取り組みなどについての指導を行います。
実施指導が入ることによって、高齢者の介護にあたるスタッフの一人一人が
正しいケアの知識を再確認できるとともに、
間違ったケアは改善するようにと指導が入るので、
老人ホームなどの介護施設を利用する側にとっては大きな安心材料となります。
さらに、運営指導においては、
ケアマネジメントのプロセスに関するヒアリングも行っています。
このヒアリングは、現場の声を聞くことによって、
利用者の自立支援に向けたアセスメントに役立てるとともに、
個別ケアをする事で利用者のプライバシーや尊厳ある生活を実現するための
サービスを確保することにもつなげるという狙いがあります。
こうしたヒアリングにおいては、
運営指導マニュアルを使い、マニュアルに基づく内容のヒアリングを行う
というのが一般的です。
その② 報酬請求指導
報酬額の請求算定基準について、適切に請求がされているかどうかをチェックするもので、場合によっては適切ではない請求が行われていることが指摘されることもあります。不適切な請求が見つかった場合、その場で正しい請求方法へと指導が入ります。そのため、介護施設を利用する側にとっては、指導が入ったことによって翌月からの利用料金などが変わる可能性はあるかもしれません。決して一般的なことではありませんが、そうした可能性があることは理解しておいた方が良いでしょう。
3.項目の絞り込みの目的と変化
急速に進み続ける高齢化社会と、介護サービスを行うスタッフの人手不足によって、介護の現場で働く人は、体力的にも精神的にも大きな負担を受けています。
普段の忙しい業務に加えて実地指導に長時間、時間を割かれることは施設にとって大きな負担です。
また、施設側だけではなく指導に入る行政にとっても、数ある全ての施設に対し綿密な実地指導をすることは、既定期間内に全ての事業所をチェックしきれない場合もあり、時間がかかりすぎることは実地指導の本来の目的が果たせない事態も引き起こしかねないのです。
ですから、特に不正や法律違反が疑われているわけではない施設に対して、
「必要以上の細かい項目をこまごまとチェックすることはやめましょう」
という方針へと厚生労働省が方向転換しました。
もちろん、実地指導そのものをやめるというわけではありません。
チェックする項目の数を減らすことによって、
介護現場で働くスタッフや施設の負担を軽減し、実地指導を効率的に進めようというものです。
この策定によって、実地指導でチェックされる項目は、介護サービスの品質に関わる内容のものや、介護施設を利用する高齢者やその家族を守るという観点に関する部分のみに絞り込まれました。
また、優良だと判定された施設に対しては、集団指導のみを行うことで実地指導とすることも検討しています。
こうした厚生労働省の策定を受けて、愛知県名古屋市においても変更に沿って対応しています。
おわりに
愛知県名古屋市では、厚生労働省の方針に基づいてすべての介護施設に対して定期的な実地指導を行っています。
この指導は、介護サービスの改善を目的として行うもので、監査とは異なります。
厚生労働省では2019年に入り、現場で働くスタッフや介護施設の負担を減らすべく、この実地指導のチェック項目を減らすことによって、負担軽減を目指すことを策定しました。サービスの品質や利用者の保護に関する部分は変更後にもチェック項目として残りますが、項目を削減したことによって施設側の負担が軽減されると予想されています。
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