老人ホームや介護施設には、様々なタイプがありますが、その中でも特定施設と呼ばれるものがあります。特定施設とは厚生労働省が決めた介護保険法の基準を満たすものとして、都道府県や市区町村に届け出て事業指定を受けた介護施設です。特定施設で受けられるサービスや、入居のメリット、デメリットなどについてご紹介します。

老人ホームや介護施設の特定施設とは？どんなサービスが受けられる？

特定施設の種類は有料老人ホームや軽費老人ホーム、養護老人ホーム、そして一部のサービス付き高齢者住宅（サ高住）があります。有料老人ホームには主に介護付と住宅型がありますが、特定施設と呼ばれるものは介護付有料老人ホームになります。介護保険法における行政の指定を受けている施設となり、人員配置基準、設備基準、運営基準といった様々な法令基準を満たしている施設になります。
これらの施設では、個々に介護サービス計画書（ケアプラン）が作成され、この計画書に基づき身体的な介護や生活支援など様々なサービスを行っています。身体的な介護に関しては食事や入浴、排泄の介助、移動の援助など、日常生活に必要な身の回りの世話を行うことが主な役割です。また、機能訓練などのリハビリテーションの提供もされます。
さらに生活支援面では洗濯や掃除などの家事代行、買い物のサポートなど日常生活における様々な面での支援が行われます。レクリエーション活動なども行われ、利用者の日々の生活の質を向上させることが目指されます。

特定施設入居のメリット・デメリットは？

特定施設への入居には、様々なメリットとデメリットがあります。メリットとしては、介護保険法における行政の指定を受けている施設のための安心感が挙げられます。法令の人員配置基準を満たしており、介護または看護職員が24時間常駐し、日常生活のサポートや緊急時の対応を行ってくれます。入居者が安心・安全な生活をする上で必要とする設備基準も満たしています。また、運営基準も設けられているため、入居するすべての方が一定基準のサービスを受けることが可能となります。これら3つの法令基準を満たしていることが安心の理由です。
また、介護保険の自己負担額は、介護度ごとの包括報酬でサービスを受けられるため、毎月大幅な料金変動などがありません。そのため、入居後の費用の見込みが立てやすくなります。
一方、「一般型」とされる特定施設では、施設内で提供される介護サービスが介護保険の満額施設で提供されるため、基本的に外部の介護サービスを受けることができません。そのため、今まで通っていたデイサービスに通えなくなるといったこともあり、ある程度サービスを自分で選択したい方には不向きかもしれません。しかし特定施設の中には従業者により作成された計画に基づき、外部のサービス事業者が介護サービスを提供する「外部サービス利用型」という施設もあるので、そちらも選択肢に入れるとよいかもしれません。
また、介護保険サービス費の満額が施設で利用されますが、そもそも介護保険サービスを必要としていない方は、その分の支払いをしなくてもすむ老人ホームへ入居したほうが費用が安く済む場合があります。
特定施設への入居は、個々のニーズや状況に応じて利点と欠点があります。入居を検討する際には、自身や家族の要望や条件を考慮し、よく吟味することが重要です。

特定施設への入居を考えるタイミングは？

特定施設への入居を考えるタイミングとしては、高齢になり食事や入浴、歩行を一人でするのが難しくなってきた頃です。この場合、自宅での暮らしや介護者への負担も大きくなります。そのため、様々な基準を満たしている特定施設での暮らしを検討するきっかけになるかもしれません。
施設では専門のスタッフが24時間体制でケアを提供し、安全かつ快適な生活環境を整えています。施設内では他の入居者との交流や様々な活動に参加することで、社会的なつながりや精神的な豊かさを得ることもできるでしょう。
また、看取りケアを行う施設が増えていることから、介護度の高い方にとっては終の棲家のひとつとして選択をされるかもしれません。

今回のまとめ

老人ホームや介護施設における「特定施設」とは、高齢者や身体障がい者などが専門的なケアを受けるための施設のことです。これらの施設は、様々な理由で自立生活が難しい方々に対して、日常生活の支援や医療ケア、リハビリテーションなどを提供しています。特定施設は、その入居者のニーズや状況に応じて個別のケアプランを立て、専門的なスタッフが丁寧にサポートします。高齢化社会の進展に伴いこれらの施設の重要性はますます高まっており、その役割は社会全体で注目されています。