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2018/10/29
コラム

進まない運転免許証返納、増える高齢者の買い物難民その②

高齢者の運転免許証自主返納に向けて、国だけではなく各都道府県や市町村では、それぞれが自主返納後の優待サービスなどの取り組みを積極的に行っています。

しかし、やはり気になるのは、運転免許を自主返納して車を手放した後の生活ではないでしょうか。

 

電車やバスなど公共交通機関が利用しやすい場所ならそれほど困ることはないかもしれませんが、必ずしもそうした便利なエリアばかりというわけではありません。

特に、高齢者は重たい荷物を持って長距離を移動することが難しいため、買い物をする際のアシの確保は大きな問題となってしまいます。

 

こうした人々は、「買い物難民」であると同時に自力での通院が困難なため、必要な診療や服薬指導を充分に受けることが出来ない「医療難民」でもあるのです。

そんな中、愛知県に本社をもつアイシン精機株式会社と株式会社スギ薬局では、県内のある地域で住民を対象とした移動支援サービスを実験的に行っています。

 

豊明市で実証実験が開始。地域での生活を支える仕組み、乗合送迎サービス「チョイソコ」とは

乗合送迎サービス「チョイソコ」利用イメージ

2018年7月24日からスタートした「チョイソコ」サービスは、愛知県豊明市前後町の仙人塚地区の住民を対象に、実証実験的に行われている乗り合い送迎サービスです。

このサービスは、県内刈谷市に本社を持つアイシン精機株式会社と、県内大府市に本社を持つスギ薬局が共同で実施しており、公共交通機関の空白地域となっていた仙人塚地区の住民、特に自身での運転に不安を抱えていたり、車を持たない高齢者への外出支援として始まりました。

事前の予約電話、集合場所となる自宅の最寄りの資源ごみ置き場までの行き帰りと、サービス車両への乗降が自身で行える18歳以上の住民であれば、平日9時~16時までの間、無料で利用する事ができます。

 

チョイソコを利用するには事前に役所の窓口、もしくは郵送により登録をする必要がありますが、それさえ済ませておけば、後は事前に行きたい場所(公共・医療施設や商業施設など全28カ所のいずれか)や到着したい時間を伝えることで、センター側が他の利用希望者の要望と合わせて、効率的なルートを決めて送迎してくれるという仕組みです。

 

現在、自動車の運転が出来なくなった高齢者の「買い物難民」数は、全国で700万人を超えると言われています。

チョイソコのようなサービスが全国に広がれば、高齢者の買い物難民医療難民を解消することができますし、運転が難しくなってきた高齢者や返納を迷っている高齢者にとっては、免許の自主返納への後押しになるのではないでしょうか。

 

送迎だけではない「チョイソコ」のメリット

「チョイソコ」のメリット

現在、2018年12月25日までを期限に実証実験的に行われている移動支援サービスのチョイソコですが、名前の通り移動に困難を抱える人達の「ちょっとそこまで」という要望を叶える、移動手段としての利便性以外にもたくさんのメリットがあります。

 

1つ目のメリット

住民が今までより気軽に買い物にいったり、必要な薬を自ら受け取りに行く手段ができることで、必要な物資や医療を必要な時にきちんと得られることで、生活の質を高められることです。

これまでは、自力で移動できないために、家族や友人にお願いして買ってきてもらったり、通院や外出を連れて行ってもらえる日まで我慢しなければいけなかった人も、チョイソコがあれば、事前に電話一本で予約ができるため、行きたい時にサッと出掛けることができますよね。

 

2つ目のメリット

自治体にとって経済の活性化につながるという点です。高齢者が積極的にチョイソコを利用して外出し、ショッピングなどでお金を使えば、それは地域の経済活性化へとつながります。

 

3つ目のメリット

高齢者による自動車事故が減るという点があるでしょう。

チョイソコはまだ豊明市の一部エリアに限定されているサービスですが、これが県内や全国に広がれば、運転免許証を自主返納しようという高齢者が増えることが予想できます。

適切な運転が難しくなった高齢者が、自主的に免許証を返納して移動支援サービスを代わりに使うようになれば、危険な運転をする高齢者ドライバーが少なくなり、自動車事故件数も減少するでしょう。

 

現在愛知県では、自動車事故によって加害者になってしまう高齢者は少なくありません。

免許証の返納が進めば、高齢者の家族やその近隣住民にとっても大きな安心感ですね。

 

4つ目のメリット

地域交流があります。

高齢者はどうしても自宅の中で過ごす時間が長くなりやすく、地域との交流が少なくなりがちです。

しかしチョイソコのように自宅と希望する場所まで送迎してくれるサービスを利用できれば、もっと積極的に外出することができるようになりますし、同じ地区に住む近隣住民がチョイソコに乗り合うことで顔なじみができ、地域とのかかわりを持ち続けたり、新たな関わりがうまれることもあるでしょう。

 

5つ目のメリット

気軽に外出できるようになることで、無意識のうちに脳や体の運動ができることです。

高齢になると目的がないと外出が億劫になったり、運動する機会が減ることで運動不足になりがちですが、移動手段が出来ることで外に出歩く機会を自然と持って体を動かすことができるのです。

また、買い物先で値段をみたり支払いをすることで数字に触れたり、他者とのコミュニケーションを持つことで、自宅にいるよりも脳が刺激を受けることができます。

 

ソイチョコを利用して外出することが、高齢者にとって良いエクササイズとなるのです。

 

コスト・安全面などの課題

費用・人材・安全面などの課題

現在では期間を決めて実験的に行われているチョイソコですが、サービスの継続や、他の地域での導入を考えると、様々な課題が懸念されます。

 

1つ目は、コストの問題です。

チョイソコは高齢者が無料で利用できる乗り合い移動支援サービスで、高齢者には費用は掛かりません。

しかし、たくさんの利用者がチョイソコを利用するとなると、運航するバスの数を増やす必要があるでしょうし、維持費や人件費など様々なコストが多くなるでしょう。

そのコストを誰が負担するのかという課題は、移動支援サービス導入を考える自治体がぶつかる課題となります。

 

2つ目の課題には、人材確保があります。

ニーズが高まれば、当然ですが待機するオペレーターやドライバーをはじめ、場合によっては運転手以外にバスに同乗するスタッフも必要となってくるかもしれません。

 

3つ目の課題は、安全面があるでしょう。

現在は介護や福祉の有資格者や経験者がバスに乗車している訳ではありません。

しかし、導入する地域や住民の状態によっては、安全面の理由から介助が行えるスタッフの同乗が必要となってくるかもしれません。

また、道が細く入り組んだような地域では、安全に運行するためのドライバー講習などの必要性もでてくるでしょう。

 

認知機能が低下した高齢者が運転免許を自主返納したら、やはりその後の生活が気になります。

 

電車やバスなど公共の交通機関が便利なエリアでも、高齢者にとっては重たい荷物を持っての移動は大変なものですし、エリアによってはマイカーがなければ日常生活に困ってしまう地域もたくさんあります。

そうした場所で暮らす高齢者にとっては、自動車の運転ができないということは、買い物難民医療難民となってしまうリスクが高く、大きな不安を抱えることになってしまうでしょう。

 

免許証の自主返納がなかなか進まない背景には、こうした返納後の生活に対する不安があるわけです。

 

高齢者の買い物難民・医療難民を解決するべく愛知県豊明市で実験的にスタートした、チョイソコというシェアライドサービス。

事前登録が必要となりますが、事前に予約をすれば自宅近くまで迎えに来て、希望する場所まで送迎してくれるという便利なサービスですね。

 

今後、コスト面や安全面などの課題をクリアすることができれば、高齢者自身にとっても自治体にとっても、たくさんのメリットが期待できるような送迎支援サービスが全国に広がっていくかもしれません。