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2023/12/05
コラム

老人ホームや介護施設でのリハビリ内容と病院でのリハビリとの違いとは?

老人ホームや介護施設でのリハビリ内容と病院でのリハビリとの違いとは?

リハビリ(リハビリテーション)には、老人ホームや介護施設で行う「介護リハビリ」と、病院で行う「医療リハビリ」の2種類があります。要介護認定を受けた方は、介護保険を活用して介護リハビリを利用することも可能です。介護リハビリと医療リハビリは目的が異なり、内容も同じではありません。こでは介護リハビリと医療リハビリとの違いを解説します。

老人ホームや介護施設でのリハビリは機能訓練と呼ぶ

老人ホームや介護施設で行われるリハビリは、正しくは「機能訓練」と呼ばれます。機能訓練の目的は、失った身体機能の改善と、残存機能の減退防止です。要介護1以上の介護認定を受けた方は、老人ホームや介護施設で機能訓練を受けられます。機能訓練は医師の指示がなくても、介護保険法が定める「機能訓練指導員」であれば実施できます。
機能訓練指導員として認められるのは、以下の資格を所有する人です。

・看護師
・准看護師
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・あん摩マッサージ指圧師
・柔道整復師
・鍼灸師

機能訓練指導員が中心となって、個々の利用者に最適な「個別機能訓練計画書」を作成し、この計画書に基づいて機能訓練指導員や介護スタッフが機能訓練を実施します。
機能訓練で行われる主な内容は以下の通りです。

・歩行訓練
・集団体操
・ラジオ体操
・脳トレーニング
・ゲーム
・口腔ケア
・嚥下体操
・口腔体操

残存機能を刺激し、生活期(維持期)での日常生活動作や心身機能、生活機能の維持を図ります。また、QOL(生活の質)向上も目的の一つです。

機能訓練は生活機能の維持に欠かせない

人が生きていくための機能全体を「生活機能」呼びます。特に、高齢期では自立した生活を維持する能力は重要とされており、機能訓練はこの生活機能維持に欠かせません。
筋力や体力が低下すると、「基本的日常生活動作能力」が衰えることがあります。基本的日常生活動作能力に該当するのは次のような身体動作です。

・歩行
・食事
・更衣
・排泄
・入浴
・整容

認知機能が低下すると、「手段的日常生活動作能力」も衰える可能性があります。例えば、金銭管理電話対応買物などの生活関連動作などです。

身体機能・認知機能が低下した方は精神的に落ち込んでしまうこともあり、人とのコミュニケーションや社会参加が困難になることもあります。このような生活機能を維持・向上するためにも、機能訓練が必要です。

病院でのリハビリは心身機能・生活機能の改善や向上を目的としている

病院でのリハビリ(医療リハビリ)は、治療直後の「急性期」から状態が落ち着いた「回復期」にかけて行われるリハビリです。ケガや病気で病院に入院すると心身ともに大きなダメージを受ける上に、社会生活からも遮断されます。特に、急性期には安静を強いられることが多いため、日常生活動作がスムーズに行えなくなることも少なくありません。身体機能・生活機能を改善・向上するために、医療リハビリが必要とされるのです。

まず、医師がリハビリ処方箋を作成し、このリハビリ処方箋を基に理学療法士作業療法士言語聴覚士が専門的な医療リハビリを実施します。リハビリ期間の目安は、急性期では2週間から1ヶ月回復期では機能の回復に応じて変動しますが、3~6ヶ月が一般的です。

医療リハビリでは、次のような訓練が実施されます。

・起き上がり練習
・筋力トレーニング
・歩行訓練
・日常生活で必要な動作の練習
・食事・発声の練習

いずれも退院後自宅でスムーズに日常生活動作を行うための訓練です。

今回のまとめ

老人ホームや介護施設のリハビリは、介護保険を活用した介護リハビリで、病院での医療保険を活用した医療リハビリとは目的が異なります。
介護リハビリは機能訓練と呼ばれ、目的は身体機能の減退防止と改善、生活の質の維持・向上です。利用者が住み慣れた地域でその人らしく暮らせるように、機能訓練指導員や介護スタッフ全員で機能訓練を実施します。目的の違いを押さえた上で、適切なリハビリを行ってください。