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2023/07/17
コラム

老人ホームや介護施設における高齢者の転倒原因と予防策

老人ホームや介護施設における高齢者の転倒原因と予防策

老人ホームや介護施設において、入居者の転倒最も多い事故の一つで、バリアフリーの環境であっても、転倒事故は発生します。転倒による骨折などのケガは、日常生活の制限筋力の低下を引き起こしやすく、寝たきりになってしまう恐れもあるため、できる限り防止しなければなりません。ここでは、高齢者の転倒の原因や、老人ホームや介護施設で配慮すべき点、そして転倒を防ぐための環境・身体作りの方法についてご紹介します。

高齢者が転倒する原因は身体機能の低下

厚生労働省の「令和4年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の要介護者のうち、全体の13%が骨折や転倒が原因で要介護状態となっています。
老人ホームや介護施設に入居している方々には、既に身体機能や認知機能の低下が見られる場合も多く、筋力が低下して足の持ち上げが困難になったり、病気によって歩行のバランスが崩れたりして、わずかな段差でもつまずいてしまうことも少なくありません。視野の狭窄視力の低下も、家具や他の入居者との衝突につながり、転倒や骨折の原因となりえます。認知症老人性うつ病の方々は判断力が低下しているため、転倒しやすくなるのです。

これらの点から、老人ホームや介護施設に入居している方々は一般の高齢者よりも転倒のリスクが高い心身状態と言えるでしょう。転倒でケガをすると、身体機能の低下によってますます転倒リスクが上がるという悪循環につながることも多いため、多くの施設で転倒防止策に取り組んでいます。

老人ホームや介護施設は転倒しにくい環境作りを徹底する

老人ホームは、バリアフリーな環境を整えているため、一般住宅よりも転倒しにくい生活環境になっています。しかし、それでも施設での転倒事例は少なくありません。
転倒事故は、老人ホームや介護施設内での移動中に発生することもありますが、意外に多いのが居室内での転倒です。例えば、夜間にベッドから起き出そうとして滑って転倒したり、人を呼ばずに自力でトイレに行こうとして転倒したりするケースが挙げられます。
そのため、介護スタッフの目が届きにくい居室環境では、特に慎重な配慮が必要です。具体的な施策としては、夜間でも足元を照らす常夜灯を設置する、滑りやすいスリッパやサンダルの使用を避けるベッドサイドに手すりを備えることなどが挙げられます。

身体機能を低下させないための体作りが必要不可欠

高齢者の転倒予防には、身体機能の維持が不可欠です。そのため、老人ホームや介護施設では、入居者が転倒しにくい体作りを促すため、日常的なトレーニングを取り入れています。
特に、足の筋力を強化するトレーニングでは、転倒リスクに注意が必要です。トレーニング中は手すりや壁につかまることはもちろん、介護スタッフが手を添えながら安全を確保しましょう。平行棒など両手でつかめる器具があると、よりトレーニングの安全性や安定性が高まります。

また、高齢者の動作は緩慢になる傾向がありますので、急かしたり不安を与えないよう配慮しましょう。高齢者が焦って体を動かした時に、バランスを崩して転倒する恐れがあるからです。また、服薬している高齢者は、薬の副作用による判断力低下・筋肉の弛緩が生じている可能性があります。トレーニングを行う際には、服薬の時間や高齢者の心身状態を確認し、状態にあわせてトレーニングの時間帯や内容を調整するなどの配慮が必要です。

今回のまとめ

老人ホームや介護施設では、環境面においてバリアフリー化などの転倒予防対策が行われています。しかし、高齢な入居者は心身の機能低下していることも多く、転倒による事故の事例報告は後を絶ちません。転倒事故を防ぐためには、転倒しにくい環境を整えることが重要です。例えば、介護スタッフの目が届きにくい居室の環境整備や、体作りトレーニングの実施などが挙げられます。入居者の安心と安全を守るためにも、施設全体で転倒予防に取り組みましょう。