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老人ホームへの入居検討前に知っておきたい高齢者に多い医療処置「胃ろう」
高齢になり食べ物や水分を口から摂取し飲み込む嚥下機能が低下すると、チューブで食事を流し込む経管栄養を検討することもあります。経管栄養には鼻からカテーテルを入れる経鼻経管栄養と、胃ろうのように直接消化管に穴をあけて流し込む方法の大きく2つがあります。今回は、特に検討する方の多い「胃ろう」という方法に注目し、老人ホームへの入居を検討する前に知っておきたい胃ろうの仕組みと注意点についてご紹介します。
1.カテーテルで胃に直接栄養を補給する胃ろうは誤嚥などのリスク軽減が可能
2.胃ろうで注意すべきカテーテルの事故抜去や栄養液逆流によるリスク
3.胃ろうの方が老人ホームや介護施設を探す際のポイント
4.今回のまとめ
カテーテルで胃に直接栄養を補給する胃ろうは誤嚥などのリスク軽減が可能
胃ろうは、腹部から直接胃に繋がる穴をあけて栄養を摂取してもらう方法で、内視鏡による手術をして経路を確保します。
病気や加齢などで飲み込む機能である「嚥下機能」が低下すると、食べ物や水分が気道に入ってしまう誤嚥が起こりやすくなります。誤嚥のリスクが一時的なものであれば、経鼻経管栄養でしのぐこともできますが、長期化する場合には胃ろうを勧められることが多いかもしれません。経鼻経管栄養は喉に異物であるカテーテルが入りますので、飲み込みがさらに悪くなり自分の唾液などを誤嚥してしまうこともあります。胃ろうは飲み込みを邪魔するものはありませんので、体調や食事形態に注意すれば口から食べる経口摂取を併用することも可能です。
胃ろうで注意すべきカテーテルの事故抜去や栄養液逆流によるリスク
胃ろうは、直接胃に栄養を注入できますので誤嚥の心配はありませんが、カテーテルが誤って抜けてしまう、もしくは認知症のある方が自己抜去してしまう危険や、胃ろう周辺の皮膚がただれるなどのリスクがあります。
胃ろうは経鼻経管栄養に比べると普段は服の下にしまっておける他、高齢者自身が違和感を感じにくいため、カテーテルを抜こうとする心配はありません。しかし、何らかの理由でカテーテルが抜去されてしまうと穴がふさがってしまい、再手術が必要になります。また、カテーテルは医師による定期的な交換が必要です。
胃ろうでは胃の内容物の逆流に注意が必要です。食事の最後に白湯を注入して、食後は胃の内容物が逆流しないように1時間程度上半身を高くして座位を保ちます。胃の内容物が逆流したり、胃ろうの周りに隙間があったりすると、周辺の皮膚がただれてしまうこともありますので、注意が必要です。
胃ろうの方が老人ホームや介護施設を探す際のポイント
以前は胃ろうへの栄養剤注入は医療行為とされていたため、胃ろうの方は看護師が常駐している老人ホームや介護施設でなければ入居できませんでした。しかし、「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が2012年に施行され、「喀痰(かくたん)吸引等研修」を受ければ、介護福祉士でも胃ろうへの栄養剤注入が可能になったのです。
栄養の摂取は1日3回程度必要で、消化器系が弱っている場合には頻度を増やす必要があります。胃ろうの方が入居できる老人ホームや介護施設を探す際には、胃ろうの食事介助に対応できる職員体制があるか否かが最も重要なポイントです。また、胃ろうの方は口を動かす機会が少なくなってしまいますので、口腔ケアが日課に含まれ、痰の吸引などにも対応できる介護施設をおすすめします。
今回のまとめ
胃ろうは直接腹部から胃に繋がる穴をあけて栄養を流し込む方法ですので、誤嚥する心配がなく、配慮すれば口からも飲んだり食べたりできます。胃ろうへの栄養剤注入は特別な研修を受ければ介護職員でも対応できますので、老人ホームや介護施設への入居は可能です。胃ろうの食事介助に対応できる職員体制が十分にある老人ホームなら安心して入居できるでしょう。
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