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2018/06/01
コラム

日本の介護と医療について

記念すべきブログ第1回目のテーマは、「日本の介護と医療」についての現状と課題についてまとめてみたいと思います。

高齢化社会から超高齢化社会へ移行しつつある日本。社会生活のさまざまな場面に影響がありますが、特に介護と医療の現場には課題が多く、その対策には猶予がありません。

課題を整理し、現在どんな施策がとられているか、見てみましょう。

① 日本の介護と医療の現状

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日本は世界でも有数の長寿国である一方で、比例して介護と医療を受ける人口も多いと言えます。

厚生労働省のデータでは、一人あたりが利用する関連サービスの回数は年々増加傾向にあります。

2015年度の介護給付費等実態調査では、年間の受給者数が初めて600万人を突破

以降も高齢化率は増加する見通しとなっており、さらなる受給者数の増加が懸念材料となっています。

 

日本の人口構造の変化に着目すると、現在は1人の高齢者を2.6人で支えている社会構造となっています。

しかし、少子高齢化が一層進行する2060年には、1人の高齢者を1.2人で支える社会構造になると想定されています。

それに伴い、世代間等の公平性を保ち、介護保険制度を持続させていくために平成29年5月には改正が成立。

一部の介護保険サービスの自己負担2割から3割に引き上げ自己負担額の見直しや、自己負担の上限額引き上げなどが実施されています。

 

他にも福祉用具貸与には同じ商品でも料金に差がありましたが、制度の改正によって貸与料金の見直しが行われました。

また、適正な価格でサービスが受けられるような施策も取られています。

 

ホームヘルプサービスやデイサービス、ショートステイなど障害福祉施設と高齢者施設との共生型サービスの検討も施策のひとつです。

在宅ケアの需要も増加傾向であり、現状では介護を始める平均年齢は50歳を過ぎた頃からと言われています。

しかし、想定よりも若く始まることも多く、精神的にも肉体的にも負担が大きいものとなっています。

 

また、年配者同士でのサポート(老老介護)が必要になるなど、ニュースで取り上げられることも珍しくありません。

加えて、若年層が減少し高齢者が急増している現状は、医療分野における負担も増加してきているということです。

 

現状では少ない医療提供体制でも若い世代の有病率が低いことや、通院が可能な世代が多いことで持ちこたえている地域があります。

しかし、すでに飽和状態となっている医療機関もあることから、早急な対策が必要と言えるでしょう。

② 日本の介護と医療の課題

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超高齢社会を迎えるなか、介護・医療分野では多くの課題が山積みです。

国会でも激しい討論が繰り広げられており、厚生労働省の高齢化で自然増とされる見積りの概算要求に対して、財務省は圧縮を求める結果となっています。

結果的に介護保険制度の改正が行われて、昭和48年から掲げてきた高齢者の優遇処置を改めざるを得なくなったのです。

 

この改正によって、高齢者に対しても負担を分配することになり、経済力に応じたものとなっています。

ただ、高齢者の負担には限界があるため、老後の蓄えや経済的に困窮する高齢者が今後も増加傾向にある日本では完全な解決策とは言えません。

経済的理由から満足なサービスが受けられないことで、健康状態の維持に問題が生じるおそれがあるのです。

健康状態の悪い高齢者が増えれば、かえって医療や介護にかかる費用が増大する原因となることも懸念されます。

それぞれのバランスを考えた施策を十分に議論する必要があると言えるでしょう。

 

2025年になると、社会保障の給付費がさらに膨らむことが想定されていることも大きな課題のひとつです。

年金の支給額は増えず、医療費負担は増えると想定されており、社会保障の制度が破断してしまう可能性があります。

また、若い世代の減少も懸念材料のひとつとなっており、マンパワー不足による在宅医療や訪問介護サービスの提供が滞る可能性も示唆されています。

 

こういった社会保障制度の維持と介護医療サービスの確保のためには財源の活用方法の模索が必要です。

医療費においては薬剤費の割合が大きく、厚生労働省では薬の公定価格の見直しなども開始しています。

並行して問題となっている重複投薬や、大量に薬を飲み残すことなど無駄を省くことも課題とされています。

 

患者の診療情報をデータベース化することで、異なる病院の検査や処方薬の無駄をなくすシステムの導入も考えられているのです。

若い世代と高齢者、双方が納得できる改革を目指すためにも課題を明確にし、徹底した管理が必要だと言えるでしょう。

③ 解決策・施策

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社会保障制度を維持と確立を図るための改革に基づく措置として、効率的で質の高い医療提供体制が求められています。

それに伴って厚生労働省は2025年に向けた施策のひとつとして、「地域医療構想」を掲げています。

地域医療構想とは、病床の機能分化や連携を進めるために、医療機能ごとに2025年の医療需要と病床の必要量を推定し定めたものです。

 

地域医療構想では特に、「地域包括ケアシステム」の必要性が考えられています。

なぜなら、人口の高齢化のスピードは地域ごとに異なるケースが多いからです。

 

厚生労働省の推定方法を含んだ、都道府県ごとのガイドラインが作成されています。

また、今後も年間の死亡数は増加傾向があることが予想されており、人口割合の比率もできるだけ地域に合わせた推移を考える必要があるのです。

 

これまでは自宅おける死亡は減少し、医療機関における死亡が増加傾向にありました。

しかし、近年では人生の最後を医療機関以外の場所で迎える割合が僅かに増加傾向にあります。

これは高齢化が進み介護する人の年齢層も高くなっているからです。

自宅で最後まで療養することが困難な理由には「家族への負担」「病状が急変したときの対応への不安」が多くなっています。

おわりに…

以上のような問題の解決策として地域包括ケアシステムの構築が推進されているのです。

団塊の世代が75歳以上となる2025年を目処に、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けられるように考えられている施策です。

都市全体の人口が横ばいにも関わらず、75歳以上の人口が急増する大都市部と、人口は減少するものの75歳以上の人口は緩やかな増加の見通しとなっている町村部等で大きな地域差があります。

全国的に同じような施策をとっていては、問題になることが懸念されているのです。

地域包括ケアシステムは、自宅から30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域を単位として想定されています。

必要な時に必要な介護医療サービスが受けられることで、元気に暮らすことを可能とし、介護医療費の削減にも繋がるのです。