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2022/01/10
コラム

高度な知識と技術をもつ「特定看護師」とは

保健師助産師看護師法によって「療養上の世話又は診療の補助」とその役割が定められてる看護師

だれもが知る医療職ですが、更に高度な知識や技術を学び、これまで医師に限定されていた一部の医療行為を行うことが可能な「特定看護師」の存在はご存知でしょうか。

これから愛知県名古屋市内の介護施設や老人ホームを利用するにあたり、重要な選定基準のひとつとなってくる「特定看護師」について学んでおきましょう。

1.「特定看護師」とは

「特定看護師」とは

「特定看護師」とは  

2015年に厚生労働省が施行した「特定行為に関する看護師の研修制度」により規定される一定の研修を修了することで、特定行為と呼ばれる医療行為を行えるようになった看護師を指します。

「特定行為」とは  

医師による診療は、「絶対的医行為」と呼ばれる医師のみしか実施できないものと、看護師が診療の補助として実施可能な「相対的医行為」に分類されますが、後者のうち高レベルな行為を区別したものが「特定行為」です。

特定看護師が行える特定行為(医療補助行為)の実例としては、さまざまなものが挙げられます。

■ペースメーカーの操作や管理

■栄養に関するカテーテルの管理

■高カロリー輸液の調整・脱水症状に対する輸液を用いた補正

■褥瘡・慢性創傷治療においける壊死組織の除去や、創傷に対する陰圧閉鎖療法

■抗不安薬や抗けいれん剤の臨時投与 等

 

「専門看護師」と「認定看護師」とは  

「特定看護師」とよく似た呼称として、「専門看護師」と「認定看護師」があります。

【専門看護師】

特定の看護分野に対して、高水準の看護を提供する知識・技術を持つ看護師のことで、「がん看護」「精神看護」「地域看護」「老人看護」など13の専門分野が定められている、日本看護協会が認定する資格です。

【認定看護師】

日本看護協会が認定する資格で、特定分野において、熟練した技術と知識を有する看護師を指します。

認定看護師は「皮膚・排泄ケア」や「救急看護」「脳卒中リハビリテーション看護」「透析看護」等、19の分野に分けられています。

【2つの違い】

認定看護師は、調整役や教育・研究という部分での役割を担う一方、専門看護師はより医療現場での実践に比重がおかれています。

2.なぜ「特定看護師」が必要とされるのか

なぜ「特定看護師」が必要とされるのか

 背景にある「2025年問題」  

高齢社会の進行によって起こると予想される、いわゆる「2025年問題」が大きく関わっています。

1945年から1949年生まれのいわゆる団塊の世代が一気に後期高齢者となる2025年には、「超超高齢化社会」が始まるとされている問題です。

日本の総人口の3人に1人が65歳以上4人に1人が75歳以上の後期高齢者になるとされているのです。

 

この「超超高齢者社会」が到来することで、医療や介護サービスのニーズが急増することが予測されます。

これによって、社会保障システムが破綻する可能性が指摘されるようになりました。

また、高齢化が進む一方で少子化も進行し、そのために労働人口が減少することも確かです。

医療や介護に携わる人材が減少することが予想されており、これをどうやって確保していくかが大きな課題となってくるでしょう。

 

 「看護システムの強化」で在宅医療を推進  

「2025年問題」に備えるため、国はそれまでの病院を中心とする医療体制の主軸を、在宅医療に置き換える方針転換を行いました。

急性期病棟の削減在宅医療に対する診療報酬点数を引き上げも行われています。

こうした状況に対応するために、日本看護協会はこれからの看護活動に関して、「医療」から「生活」支援を重視する方向性に転換しようとしています。

そこで重視されているのが看護のシステムの強化であり、その方法として4つのビジョンが示されています。

 

 「看護システム」の4つのビジョン  

①【地域包括ケアシステムの構築】

サポートを受けることで、病気・障害を抱えながらも地域で暮らし続けることができる社会を実現するために、看護師による地域包括ケアシステムを構築する。

②【地域の看護機能の強化】

訪問看護ステーションの設置看護機能型の住居介護施設を増設して、地域生活においての看護機能を強化する。

③【訪問看護サービスの拡大】

地域で活動する看護職員を大幅に拡充し、訪問看護を2025年までに大きく増加させる。

④【医療のキャパシティを増やす】

特定看護師(特定行為を実行できる看護師)により看護職の裁量を拡大し、必要なタイミングで必要とされる医療ケアを提供できる体制を整えることが挙げられています。

 

高齢化社会の進行によって、在宅医療の必要性が高まっているだけでなく、複数の疾患を抱える患者さんやリハビリを必要としている患者さんなど、多様な医療介護のニーズが高まることが予想されます。

そんな状況に対応するため、高度な看護が行うことのできる特定看護師の育成と人員増加が必要とされているのです。

3.特定看護師による「医療現場の変化」とは?

特定看護師による「医療現場の変化」とは?

看護師が「特定行為に関する看護師の研修制度」を修了し、医療現場で看護を実践することで、さまざまな変化が見られ、医療現場の体制にも大きく影響していることが報告されています。

 変化①【医療行為の視野の広がり】  

特定看護師が看護を実践することにより、医学的な推論・判断を行うことができ、患者の疾患の推察や病巣部の状態の判断が可能になります。

それによって、より的確な処置の方法の選択肢が広がることになりました。

医師の医療に対しても、特定看護師が診断や治療に対して、より踏み込んだ指摘や提案ができるようになったことで、広い視野で治療を選択することが可能になります。

また、治療に関する方法や治療経過についても、特定看護師が転院先に申し送ることができるようになるので、転院先で治療の進め方の指針としても効果を持つようになります。

 変化②【現場に適した迅速な医療提供】  

特定看護師が特定行為を行えることで、患者に対して提供できるケアを増やすことにつながります。

これまで看護師の判断だけでは手が出せなかった部分に関するケアもできるようになりました。

患者の病状や必要なタイミングに合わせた特定行為を看護師が行えるので、現場において、より適切で迅速に医療を実現することが可能となります。

患者に療養上のアドバイスを行う際にも、データを活用することができるようになるので、在宅療養の質の向上も望めます。

 変化③【治療と生活の両面をふまえた支援】  

また、特定看護師は患者や家族の心情により配慮でき、患者のQOLに即した医療を現場において行うことができるようになります。

看護師が研修を修了して特定看護師となることで、患者の身体健康上の問題を把握するためのフィジカルアセスメント能力が向上することが確認されています。

これらの能力はすべての看護師に望まれることでもあることから、通常の看護師教育の一環として行われることが検討されるべき、と指摘されています。

【おわりに…】

高齢化社会の進行に伴い、よりクオリティの高い医療の実行のためにも、特定看護師のニーズはますます増えていくことでしょう。今後、「特定看護師」の重要性は更に高まり、医療現場や患者に対して、より貢献することが求められていくでしょう。

医療・介護施設を探している場合、特定看護師の雇用数が判断基準の一つとなることも確かであると言えます。より適切な介護を受けるためにも、その施設に特定看護師がどれだけ雇用されているかも、注意のポイントとなっていくかもしれません。