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障害福祉における「等級」と「区分」違いはなに?
先天性のものや、病気・怪我など、さまざまな理由で日常生活を送るうえで「障害」がある方に対しては、障害福祉という分野において、金銭面での負担軽減や、直接的なケアなど、色々な支援のかたちがあります。そうした支援は、障害を持つ方ができるだけ不便なく社会生活が送れるよう制度として整備されています。これらの制度は、それぞれにとって「必要な支援」を適切に受けられるよう、障害の状態に応じた種類分けがなされています。その制度の内容について知り、障害についてのより良い理解ができるようにしましょう。
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【障害福祉】障害者を支援する2つの仕組み。 障害者手帳と障害福祉サービス。「等級」と「区分」何が違う?
1.「障害」にはどんな種類があるのか
一般的に「障害がある」と言うと、心や身体の機能に何らかの不具合が生じ、日常生活に支障をきたしている状態を指します。しかし、障害にはさまざまな種類があり、その特性や支援の必要性も人によって大きく異なるため、公的な福祉制度や社会的なサポートを適切に提供するために、障害の定義と種類を法律で明確に区分しています。
身体障害者
「障害者総合支援法」では、18歳以上で身体障害者手帳の交付を受けている人を指します。身体の機能に障害がある場合に交付され、視覚・聴覚・肢体・内部(心臓や腎臓など)の障害など、具体的な区分が定められています。
精神障害者
「精神保健及び精神障害者福祉法」に基づき、統合失調症やうつ病、薬物やアルコールなどの精神作用物質による依存症・急性中毒のある人などの精神障害をもつ人を指します。また、知的障害や人格障害(精神病質)なども含まれます。この法律では、精神障害者保健福祉手帳の有無に関わらず、医師により精神疾患があると診断された場合には、精神障害者として扱われます。
発達障害者
「発達障害者支援法」によって定義されており、自閉症、アスペルガー症候群、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などが含まれます。これらは脳機能の発達に関する障害とされ、日常生活や社会生活において困難を抱えることがあります。なお、ここでも手帳の交付が必須条件ではなく、医師の診断によって発達障害とされるケースもあります。
知的障害者
知的障害については、法律上で明確な定義が設けられていませんが、一般的には知的能力の発達に遅れがあり、日常生活に支援を必要とする人を指します。18歳以上で知的障害と診断され、自治体を通じて障害支援区分の認定を受けることで、知的障害者として福祉サービスの対象になります。場合によっては、精神障害の区分と重なることもあります。
障害の多様性と支援の考え方
このように、「障害」とひとことで言っても、身体・精神・発達・知的といったさまざまな側面があり、関係する法律や支援制度も異なります。ただ共通して言えるのは、病気や機能の障害によって生活に困難を抱え、その困難に対して支援を必要とする人を指しているということです。特に、障害者手帳は明確な判定基準と等級制度が設けられており、支援を受けるうえで重要な公的証明となっています。
2.障害福祉サービスで用いられる「区分」
支援の必要度を示す「障害支援区分」とは
実際に支援を受ける際に関わってくるのが、「障害支援区分」です。これは「障害者総合支援法」に基づいて定められているもので、障害福祉サービスを提供するための基準として使われます。障害支援区分は、支援の必要度に応じて1~6の6段階に分けられています。区分1が最も軽度で、区分6が最も高い支援を必要とする状態を示します。サービスを利用する際は、この支援区分に応じて、受けられる支援内容や量が決まる仕組みになっています。
障害支援区分の判定方法
支援区分の判定は、医師の意見書とともに、認定調査員(専門の調査員)による調査をもとに行われます。まずはコンピューターによる一次判定が実施され、その後、専門家による審査会での二次判定を経て最終決定されます。
判定で確認される主な項目
調査では、日常生活の動作やコミュニケーション、行動特性など、さまざまな側面から支援の必要性が確認されます。
日常生活に関する項目
・両足で立っていられるか
・飲食物を安全に飲み込めるか
・排泄や入浴を自分で行えるか
・交通手段を利用できるか
・料理などの家事ができるか
コミュニケーションに関する項目
・聴力や発声などの意思疎通能力
・相手の話や説明を理解できるか
行動障害に関する項目
・大声や奇声をあげる行動があるか
・異食や自傷行為が見られるか
・同じ動作を繰り返す傾向があるか
・集中力が続くかどうか
医療的ケアの必要性
・人工呼吸器(レスピレーター)が必要か
・酸素療法、ストーマ処置などの医療行為を要するか
総合的な判定と留意点
調査では、こうした多くの項目を丁寧に確認し、障害の状態や生活への影響を総合的に判断します。場合によっては、身体障害と精神障害の両方を併せ持つケースもあり、その際はより時間をかけて詳細に確認が行われます。このように、障害支援区分は、個々の生活状況を的確に把握したうえで、必要な支援を公平に受けられるよう設計された仕組みです。
3.障害者手帳で用いられる「等級」
障害者手帳の等級とその基準
障害のある方が公的に認定されると、「障害者手帳」が交付されます。障害者手帳では、障害の程度に応じて1級から7級までの等級が定められています。この等級は、先に紹介した福祉サービスの「支援区分」とは異なり、基準となる法律や支援の内容が違う点が特徴です。障害者手帳の等級は、障害の内容と生活への影響を丁寧に評価したうえで、公平かつ客観的に判定される仕組みとなっています。
等級の決め方と意味
障害者手帳の等級は、障害の種類や部位、そして日常生活にどの程度支障があるかをもとに判定されます。判定の際には、身体障害者福祉法の施行規則に基づいて詳細な基準が設けられており、障害の種類ごとに分かりやすい表で示されています。
等級は1級が最も重く、7級が最も軽い障害とされています。ただし、7級の障害だけでは手帳は交付されません。7級の方で等級が認定される例としては、7級に該当する障害が2つ以上ある場合と、6級と7級の障害が組み合わさっている場合にのみ、手帳の交付対象となります。
判定基準の具体例
たとえば視力障害の場合、両眼の視力の合計が0.13以上0.2以下であれば5級に該当します。一方で、両眼の視力の合計が0.01となると、1級として認定されます。
病気の種類による区分
また、障害の原因となる病気の種類によっても判定が行われます。たとえば、肝機能障害やHIV感染症による機能障害などの場合、それぞれの進行度や、日常生活を送るうえでの困難さなどを総合的に考慮して等級が決定されます。
おわりに…
ひとくちに「障害」といっても困難さが生じている原因やその程度はひとそれぞれです。そうした障害を抱える方に対する支援の仕組みに用いられる指標「障害支援区分」と「障害等級」は似ているように感じますが、それぞれに示すもの、支援の内容、判定の基準は異なっています。正しく情報をくみ取り、理解するために、こうした違いについて今一度整理しておくと良いでしょう。
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