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ケアまどニュース
10月にスタートしたケアプラン「検証制度」とは?
2021年10月。
介護サービスにおいて「受ける回数・タイミング・目的・サービスの内容」などを記したケアプランについて、新たな検証制度が設けられました。
その目的は、利用者の実情に合ったサービスを提供することです。
その新しい検証制度の内容を知り、どのように改善が進められていくのかについて、理解を深めましょう。
▼YouTubeでも短い動画で解説しています!
1.ケアプラン検証・点検の制度がスタート
新たな検証制度が2021年10月からスタート
市町村が対象となる事業所に対して、指定したケアプラン(第1表、第2表、第3表など)の届け出を依頼します。
依頼を受けた事業所は、指定されたケアプランに訪問介護が必要な理由などを書き込んで市町村へ届け出ることになります。
2021年の10月以降に作成されるか、変更されたケアプランが対象となり、最初の送付は来年2月頃となる見通しとなっています。
また、すべての事業所ではなく、条件を満たす居宅介護支援事業所のうち、いくつかの場所が選ばれ、検証されることになります。
ちなみに、生活援助の分野で利用が多い方を対象とした別制度でのケアプラン検証がすでに行われている場合、そのプランについては対象外となるので注意が必要です。
「居宅介護支援事業所単位」のケアプラン検証
【対象となるプラン】
要件①:介護サービスの総額が、区分支給限度基準額の7割以上である
かつ、
要件②:7割以上を占めるサービスのうち、訪問介護サービスが6割を超えるという
※全体のおよそ3%の事業所がこれに該当するとみられている。
【ケアプランの指定】
要件①・②に該当するケアプラ ンのうち、市町村が介護度別に1件ずつ以上を指定する
「高齢者向け住まい等対策」の ケアプラン点検
【高齢者向け住まい】
・住宅型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者 向け住宅
※未届の住宅型有料老人ホームも当然に該当する
【対象となるプラン】
・市町村ごとに設定
※要件設定項目(組合せは2つまでで、帳票上、各ケアプランの利用者について、要介護認定時の居住地が高齢者向け住まい等である)
①区分支給限度基準額の利用割合
②利用サービス種類とその利用割合、区分支給限度管理対象サービスは全て選択可
【ケアプランの指定】
要件①・②に該当するケアプラ ンのうち、市町村が提出すべきケアプランを指定する
※ある介護度の利用者が事業者にいない場合、その介護度については届け出をしなくても良い。
※別の介護度について、2件より多い届け出をして、全体の数を合わせることも可能
ケアプラン検証の「目的」
事業所で作成されるケアプランが、利用者のニーズや希望に合っているかなど、様々な項目をチェックしていきます。
さらに、ケアマネジャーだけが自分の視点でプランを作成して実行するのではなく、他の職種からの観察や意見を加えることで、より良いケアができるように改善を目指します。
これはあくまでもサービスの改善を図る目的であり、事業所の評価をしたり、介護サービスそのものの利用に制限を設けたりするためではないとされています。
2.制度のポイントとは
こうした検証制度は介護給付適正化事業の一環としてなされるもので、自治体が管轄する介護事業者に対して、明確な指導と観察ができるように促します。
提出してもらったプランに対しては、自治体が独自に検証するのではなく、一定の項目に従ってチェックをしていきます。
その際には、地域ケア会議やリハビリ担当職員、行政職員など複数の異なる職種が参加することになっています。
こうして、直接ケアプラン作成をしている、もしくは介護サービスそのものを行っていない人が加わることで、客観的な検証ができるようになるわけです。
これらの内容で検証をすることで、適切な介護プランが作成されているかを、実際の業務だけでなく、地域福祉全体の観点やコストからも判断できるようになります。
この結果に基づいて、事業者が、提出したケアプランと似た他のプランについても見直すように促されます。
こうすることで、実際の介護サービスの方向性や提供内容を決めるケアプランの向上を図ることができるようになり、国や自治体が示すルールや考え方に沿った介護福祉制度の実現を目指しています。
3.検証の背景にある「問題」とは
こうしたケアプランの検証制度は、介護給付コストについて見直して、何らかの形で費用削減ができないかを見るのが一つの目的となっています。
というのも、高齢化によって介護福祉事業にかかる費用は増加の一途です、自治体や国の財政状況を圧迫するものとなっているからです。
この問題は、単に行政上のコストの課題というだけでなく、介護保険制度の持続性や、若い世代への更なる負担による少子高齢化の悪循環にも繋がります。
もし、財源不足により十分な介護報酬の支払いや支援ができなくなれば、介護事業に携わるスタッフの人件費をまかなったり、整った設備を整えたりするのが難しくなるからです。
そこで、現場での介護サービスの内容や頻度を決めるケアプランが無駄のないものであるかどうかをチェックするために、こうした検証制度が必要とされたわけです。
利用者が、それぞれの要介護度やご家族の支援状況などに応じた、必要な介護ケアを受けているのかを見ることもできます。
それは、実際にプランの作成を行っているケアマネージャーだけでは、判断が付かないこともあります。
そこで、行政に携わる職員や別職種の人が検証に加わることによって、何らかのケアプランの改善を図れないかと考えます。
異なる目でのチェックすることによって、より客観的な判断ができるようになります。
どうしても、現実の利用者のニーズ以上に、過剰にサービスが提供されていることもあるのも事実です。
そのため、第三者目線で、介護の現場で無駄なコストが使われていないかをチェックするわけです。
もちろん、これはあくまでコストダウンありきの利用制限をするというものではないという点は押さえておかなければいけません。
あくまでも、利用者の実情に合わせて、不要なケアがないかを見るだけです。
そして、客観的な検証をした後に、その改善策を提示することで、事業所が一つの見本を持てるようにします。
事業所は検証内容を確認して、その他のケアプランと突き合わせることで、無駄を省ける部分を探していくというわけです。
自治体は介護事業者への指導やチェックをすることが求められていましたが、そこまで徹底していなかったという問題も浮かび上がってきます。
より緻密な検証と改善を指導することで、「なんでもかんでも介護をする」のではなく、「介護を必要とする状態となっても、高齢者が自立した生活を送れるよう支援する」という本来の介護保険の目的を目指していくわけです。
【おわりに…】
2021年10月から、新たに作成された、もしくは変更されたケアプランを検証する制度がスタートしました。これは、自治体が条件を満たす介護施設を選んで、ケアプランを提出してもらい、内容をチェックするというものです。検証は様々な職種の人が加わり、異なる観点でチェックをすることになっています。
愛知県名古屋市でもそうですが、全国的に介護事業にかかるコストが上昇しているため、この検証作業を通して、無駄なサービスとコストを減らす目的があり、改善を図ることで、介護保険制度の継続の安定化や、公費負担を減らしたいという国の思惑が背景にはあるようです。
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