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ケアまどニュース
課題山積?ケアマネ研修のオンライン化
デジタル化において普及が遅れていた「介護福祉分野」に関して、新型コロナウイルスの感染拡大がひとつの後押しとなり、徐々にオンライン化の動きがみられるようになってきました。
そんななか、業務の効率化や負担軽減のための手段として「ケアマネジャーの法廷研修のオンライン化」が本格化する見込みです。
愛知県名古屋市の老人ホームや介護施設で働くケアマネジャーも例外ではありません。
まだ課題もありますが、いずれはオンラインで研修を受けることが必至なのは確実です。
それに備え、ケアマネジャーの法定研修のオンライン化について知っておきましょう。
ケアマネの法定研修とは
ケアマネジャー(以下、ケアマネ)になるには受験を受けなければなりませんが、それに合格しただけではケアマネとして働くことができないのはご存知でしょうか。
実は、「介護支援専門員実務研修」という研修を修了しなければ、ケアマネの仕事はできないのです。
この研修は、ケアマネ試験に合格した人だけが受けることのできる研修です。
この研修によって、利用者さんの自立支援のためのケアマネジメントに必要な知識やスキルを身につけ、地域の包括的なシステムにおいて、医師や看護師などの医療従事者とも連携しながら活動することのできるケアマネになることを目指します。
介護支援専門員実務研修
この研修は、最初に受けなければならない、最も初歩の研修です。
この研修を終えた後、ケアマネとして仕事をするようになってからも、いろいろな研修を受けなければなりません。
「専門研修Ⅰ」
「専門研修Ⅱ」
「主任介護支援専門員研修」
「主任介護支援専門員更新研修」など
これだけの研修をすべて修了するのにはとても長い期間がかかりますが、人によって知識やスキル、経験の身につけ方が違いますので、個人差をなるべくなくすためにも研修が行われているわけです。
いずれにせよ、ケアマネの仕事をするためには介護支援専門員実務研修を必ず修了しなければなりません。
この研修はケアマネとしての基本を包括的に学ぶ内容なので、修了するまでにそれなりの時間がかかります。
研修ではどんなことをする?
2016年度まででも44時間かかっていましたが、それ以降は、それまで任意の人が受けていた「実務従事者基礎研修」も統合されて必修となったため、現在の介護支援専門員実務研修の合計時間は87時間です。
このうち15日間が講義で、3日間は施設での実習を行います。
前半の講義では、ケアマネとして身につけておかなければならない基本的な知識とともに、ただの知識としてではなく、自ら使いこなせるように、グループワークなどで活用する練習も行います。
シミュレーションやロールプレイなども組み合わせながら、実務を想定した実践的な方法によって、知識を深めていくわけです。
そうやって身につけた知識を実際の現場でどのように生かすかを学ぶのが、現実の事業所における実習です。
実際に居宅介護支援事業所などに行って、そこですでに働いているケアマネの働きぶりを見たり、サービス担当者会議に参加したり、利用者さんのお宅を一緒に訪問したり、といったことを行います。
ケアマネ研修のオンライン化
このように、ケアマネの研修は非常に長い時間が必要で、負担も大きいのですが、前半の講義の部分はオンライン化が可能です。
離島や山間部など遠隔地に住む人たちにとって負担が大きいという理由で、以前からオンライン化を進めるべきと言われていました。
それがなかなか進まなかったのが介護福祉分野の課題だったのですが、2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、本格的なオンライン化が始まろうとしています。
厚生労働省でも、ケアマネ研修のオンライン化の手引きを作成しています。
これまで都道府県によって内容の異なる研修をやっていたのを全国共通にして、どこでも同じ質の研修が受けられるように対応を進めています。
手引きによって具体的に整理されたポイントは、研修のオンライン化に必要な環境整備、研修に用いる副教材といった資料の整備などです。
オンライン化された最初の年の2020年度の研修では、「実務研修」と「専門研修課程Ⅰ」「専門研修課程Ⅱ」、それと「主任介護支援専門員更新研修」が対象でした。
2021年度以降、これ以外の研修に関してもオンライン化が進められていく予定です。
研修の内容には、先にも触れたように、講義だけでなく実習もありますが、オンライン研修を実施するのは、講義だけの科目と、講義と演習が一体になった科目についてです。
現場での実習は従来通り、実際の施設まで行って受けます。
つまり、ケアマネの研修がオンライン化されるといっても、全部がオンライン上で完結するわけではないということです。
オンライン化における課題
このように、ケアマネ研修のオンライン化が進みつつあるのですが、まだまだ課題もあります。
まず、オンライン研修を受けるには、当然ながらインターネット環境など、受講するために必要な環境や機器の整備をしなければなりません。
現状は、通信機器の準備や環境の整備などは研修を受ける受講者自身が行うべきとされているのです。
現在働いている勤務先で演習を受けたい場合も同じです。
つまり、パソコンなどインターネット環境がない人は、自分で新たに購入して揃えるか、職場で用意してもらう必要があるというわけです。
しかし、ケアマネの勤める事業所では、ICTの活用がまだまだ遅れているのが実際です。
全国のケアマネが同じようにオンラインで研修を受けられるようになるには、まだまだ時間がかかるのではないかと考えられています。
研修を行う都道府県も、急にすべてをオンライン化することは現実的ではないと考えているため、今後しばらくは従来のやり方と並行しながら、オンライン研修を実施していくことになるでしょう。
オンライン化によって自宅のパソコンで研修を受けることができますが、一部は以前のように一か所に集まって集合研修を受ける必要があります。
そのための交通費の負担など、以前から指摘されていた課題は依然として残っていると言えるでしょう。
また、都道府県によっては、独自にケアマネ研修について力を入れてきているところもあります。
国が標準として定める教材だけでは、これまでの研修より質を維持できない点が懸念されており、研修全体について見直さなければならない場合もあるようです。
そのためには手間も時間もかかりますので、オンライン化によってかえって負担が増えるところもあります。
【おわりに…】
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、介護福祉だけでなく、あらゆる分野でオンライン化が進んでいます。
今後、愛知県名古屋市でも、ケアマネの法定研修がオンラインで受けられるようになるでしょう。
本来、ケアマネ研修は受ける地域による内容の差があってはいけないことでした。
それがオンライン化によって全国で統一されるのは、研修を受講する個人の負担が少なくなると同時に喜ばしいことです。
ただし、まだまだ課題もあります。
オンライン研修を受けるためのICT環境がすべての人に行き渡るまでには、時間がかかるでしょう。
もちろん、そのための費用的な負担も無視できません。
とはいえ、いずれ近い将来において、全国的にケアマネのオンライン研修が不都合なく受けられるようになるはずです。
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