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2021/07/19
コラム

高齢者も対象!「セーフティネット住宅」

2017年にスタートした、「セーフティネット住宅」という制度をご存知でしょうか。

住宅を確保するというのは、通常の生活を送るためにどうしても欠かせないものです。

そこで、高齢者障害を持つ方などが安心して住宅を確保できるようにと、様々な配慮がなされる制度が作られています。

日本の住宅事情を考慮した上で、利用しやすい支援策が採られていますので、その内容を知りどのような活用ができるのかを探っていきましょう。

高齢者は部屋を借りにくい?

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住宅を借りる場合、不動産管理会社やオーナーが借りたいという人をチェックします。

支払い能力などをメインに見るわけですが、貸す側が高齢者の入居を渋る傾向が見られます

公益財団法人である日本賃貸住宅管理協会が行ったアンケートでも、それが明らかになっています。

 

このアンケートでは、賃貸住宅のオーナーに対し高齢者の入居についてどう思うかを調査しました。

それによると、「従前よりも弱くなっているが拒否感がある」という回答も含めると、少なからず拒否感を持っているオーナーは60パーセント近くに上っています。

もちろん、こうした方たちがすべて入居を拒否するというわけでは決してありませんが、感覚としては厳しい状況となっているのは確かです。

 

また、同調査で高齢者に対して何らかの入居制限を行っていると回答したオーナーは、全体の10パーセント程度となっています。

その内容としては、単身高齢者での入居はできないとか、高齢者のみは不可といったものです。

全体的には、以前と比べると高齢化が進んでいる状況のため、高齢者への入居制限は減少傾向ではあります。

それでも、70歳以上の高齢者の方だと現実的には家を借りにくい状況がまだまだ見られます。

 

ハードル①:保証人の設定

理由の一つが、賃貸契約に際して求められる保証人の設定です。

家賃の支払いが難しくなった時に、保証人に請求が行くという制度ですが、この保証人の頼み先がない高齢者が増えています。

 

例えば、独身の方子どもなど頼れる親族が居ない方などは、保証人を立てるのが難し現実が見えます。

また、親や兄妹姉妹がいる場合でも、その保証人が高齢の場合には保証人として認められないケースもあります。

 

そのため、家賃保証会社に保証人になってもらうようにしないと、契約ができないというケースも多くなっています。

しかし、70代以上の方の場合は、家賃保証会社の審査に通ること自体が難しい現状もあり、結果として賃貸契約が結べないという事態が生じえるわけです。

 

ハードル②:支払い能力への不安支払い能力

高齢者は、年金や預貯金を切り崩しながら生活している方が少なくなりません。

収入額が少ないことや、病気などによって支払いが厳しくなるといったことも、貸し出し側の懸念材料になっているようです。

 

ハードル③:孤独死の問題

孤独死の問題が社会的に増えていることからも、万が一の事態に対応するのが大変というのも、不動産管理会社やオーナーの偽らざる心中と言えるでしょう。

例え収入や貯蓄が十分にあり、支払能力に問題が無いという方であっても、身元引受人がいないなど、孤独死が起こってしまうことを懸念しているのです。

 

こうしたことから、昔に比べると改善されているとはいえ、高齢者の方が住宅を借りるのが難しい状況が見られます。

セーフティネット住宅とは

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こうした状況に陥っている方々を支援するために、住宅セーフティネット制度という策が2017年に設けられています。

住宅確保用配慮者向け賃貸住宅の登録制度

賃貸住宅のオーナーが自治体に対し、自分の住宅では高齢者などの配慮の必要な方々の入居を拒否しないという意思を明示する、登録制度です。

この制度に登録されている住宅であれば、高齢者であることを理由に契約を断られることはないのです。

ただし、住居によっては障害がある場合は難しいなど、一定の条件が付けられていることもあるので、内容を確認する必要があります。

 

登録住宅の改修

制度に登録されている住宅であれば、改修が必要になった場合、一定の費用補助があります。

これにより、不動産オーナーが経済的な支援を期待して、積極的に自分の物件を登録するようにれば、事実上借りられる家の選択肢が増えるというメリットが生まれます。

 

入居者への経済的な支援

高齢の入居希望者に対して、家賃に加えて家賃債務保証料の支援をするという策も設けられています。

国と愛知県名古屋市などの自治体が分担して補助を行い、低所得であっても住宅を確保できるように助けてくれます。

 

こうしたセーフティネット住宅が増えれば、高齢者の方の暮らし方の選択肢が増えることになります。

登録住宅の情報は自治体が持ってるので、自分の住んでいる地域でどこにどんな住宅が登録されているのかをチェックしてみると良いでしょう。

同時に、家賃補助も含めて、経済的な支援策が適用されるかどうかも調べておくと良いでしょう。

空き家の「新しい活用法」も

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住宅セーフティネット制度が設けられたのは、高齢者を始めとする住宅を確保するのが難しい方への支援という目的と共に、それ以外の側面があります。

それは、空き家や、空き物件の有効利用という目的です。

 

日本には非常にたくさんの空き家や、利用されていない物件が存在していて社会問題となっています。

空き家は放置されたままだと朽ちるのが早く、安全性の問題が起きたり、近隣トラブルを引き起こす原因となります。

また、様々な犯罪被害災害被害を受ける可能性もあるのです。

 

そこで、自治体が主体となって空き家を有効活用するための策も講じられるようになっています。

特に、住宅セーフティネット制度に、空き家を登録して優先的に高齢者などに貸すという仕組みが作られています。

物件のオーナーとしても、全く使っていなかった空き家が収入源となるわけですから、大きなメリットがあります。

そして、入居希望者にとっても、賃貸住宅の選択肢が増えて借りやすくなるという利点もあります。

 

様々な自治体でこうした取り組みがなされていますが、たとえば福井市では空き家を「サブリース」という形で確保して、それを高齢者に貸すという実証実験が始められています。

放置していた空き家をサブリース形式で借り上げ、それを高齢者に提供します。

高齢者は家賃補助を受けて低額で借りることができます。

 

しかも、住居だけでなく「生活サポートサービス」として、スタッフの定期訪問や連絡、家事手伝い、外出の付き添いなどもなされます。

こうして、老人ホームなどの介護施設に住むだけの資金がないものの、今までの自宅では不安という高齢者に対して、安心安全の住まいを提供することができるのです。

同時に、自治体としても問題を引き起こしかねない空き家を有効活用することができ、福祉制度を充実させられるというメリットを生み出すことができます。

 

【おわりに…】

高齢者の住宅確保というのは簡単ではなく、家賃の問題賃貸契約のための審査に通らないという事態に直面することがあります。

そのため、高齢者に対して優先的に住宅を提供できるように、「住宅セーフティネット制度」が設けられています。

この制度を利用することによって、家を見つけられる安心と共に、所得額などの状況によっては家賃補助を受けられるという支援を受けられます。

自分の住んでいる自治体ではどんな制度の運用がなされているかをチェックして、賢くこうした制度を利用しましょう。