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ケアまどニュース
知っておきたい「介護士常駐」本当の意味
介護施設や老人ホームを探したことがある人は、「介護士常駐」や、「看護師常駐」という言葉を1度は目にしたことがあるでしょう。
しかし、この本当の意味や違いを理解できているでしょうか。
実は施設によって、同じ「常駐」でも、その在り方が異なるのです。
最近は24時間介護士常駐、あるいは看護師常駐といった施設も増えてきています。
入居前の際にはぜひ、この「常駐」が何を指し、どのような介護サービスや医療体制になっているのかを事前に確認しておくことをおすすめします。
1.厳密には違う「介護付き」と「住宅型」の常駐の意味
有料老人ホームには、いくつかの種類があります。
「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」、そして「健康型有料老人ホーム」です。
このうち、健康型有料老人ホームは自立から要支援程度までの方を対象としています。
主なサービスは食事サービスといった衣食住に関するもので、中には図書室やスポーツジム、シアタールームなどが設置されている所もあります。
主に民間企業が運営しており、老後の生活を楽しむことが目的で、認知症の方の場合は受け入れができない形となっています。
自立度の高い高齢者向けのため、介護を必要とする状況となった場合には退去しなければならなくなります。
介護士常駐や看護師常駐を希望する高齢者やご家族の場合、対象となってくるのは「介護付有料老人ホーム」や「住宅型有料老人ホーム」と言えるでしょう。
この二者の違いは、主に「特定施設入居者生活介護」の指定を都道府県から受けているか否かで変わってきます。
「特定施設入居者生活介護」の指定を受けることで初めて「介護付有料老人ホーム」と名乗ることが可能となります。
「特定施設」の指定を受けるためには、人員や設備、運営の基準を満たしていることを行政から認可してもらわなければなりません。
そのため、介護付有料老人ホーム(特定施設の認定を受けている)場合には、介護士の24時間常駐が基本となります。
一方「住宅型有料老人ホーム」の特徴としては「外部サービスを受けられるか否か」という点になってきます。
例えば、介護対有料老人ホームの場合、介護サービスは施設から提供されるものであり、施設内で完結しています。
一方、住宅型有料老人ホームの場合には、あくまで施設を利用する権利を施設と契約しているかたちなので、介護サービスは別途、訪問介護事業所と契約するかたちになり、今まで通い慣れていた外部のデイサービスに継続して通うことも可能となります。
また、介護サービスだけでなく、看護についても別途、訪問看護事業所と契約することで利用が可能です。
このように、仕組み上は自宅で生活していた時と同じ契約形態となりますが、実際にはほとんどの住宅型有料老人ホームが、訪問介護事業所を建物内に併設しています。
当然、介護をするスタッフも同じ建物内にいますので、「建物内に24時間介護士が居る」という状況は、一見すると施設のサービスとして介護を提供する介護付き有料老人ホームと変わりがないように思えるでしょう。
ただし、実際にはいつでも何回でも制限なく介護が受けられる介護付き有料老人ホームとは違い、住宅型有料老人ホームは事前に計画したケアプランに沿って介護士が部屋を訪問し、ケアを行うかたちです。
予定されていなかった介護サービスについては、予定分とは別に追加で料金が必要となったり、1ヶ月で利用できる介護サービスの量をオーバーした分を「自費サービス」として介護保険利用分と別に支払う場合もあります。
こうしたケースでは、施設入居前に想定していた1ヶ月の利用料を超える場合もあるため、介護サービスの提供と料金の仕組みについては、入居前にしっかりと説明を受けてから入居するかどうかを決めるようにしましょう。
2.実態とは逆行。「同一建物減算」で政府は在り方に否定的。
先述した通り、住宅型老人ホームの多くは「訪問介護事業所」や、一部「訪問看護事業所」を併設しています。
施設内に併設した事務所から入居者の方々を訪問する形となりますが、法律的にはこれが「同一建物減算」に含まれており、1回の訪問につき10%の減産が課せられるという規定になっているのです。
この規定は、住宅型老人ホームとして建物内に事業所がある施設にとって不利な条件であり、かつ収益減につながるものとなります。
そのため、最近では事業所の所在地を違う住所で登録して減産をかわしたり、あるいは過剰なサービス提供をすることで減産部分を賄うケースも散見されます。
しかし、それは本来、入居者やご家族の方の立場に立ったものではないことは言うまでもなく、むしろこうした規定があることによって、住宅型老人ホームが運営のためにそうせざるを得ない選択を迫るものであり、超高齢社会化を迎えるにあたり、逆行した規定であると言えるでしょう。
各地域において、必要と想定される決められた数しか開設できない介護付き有料老人ホームと違い、施設の数に制限がない住宅型有料老人ホームが増加したことで、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームに入ることができなかった人たちの受け皿や選択肢が増えたことは言うまでもありません。
病院と自宅以外の第3の居場所である「老人ホーム」という選択肢において、住宅型有料老人ホームが一翼を担いつつある現状で、介護事業のなかで今後どう取り扱われていくのかが注目されます。
3.同じく目にする「夜間オンコール」とは?
最近では有料老人ホームの中にも看護師24時間常駐のところが増えてきましたが、そうではない施設では、夜間帯に何か緊急事態が起きた場合に、看護師が口頭で指示をしたり、あるいは現場に直行するという「夜間オンコールシステム」を設けている施設があります。
介護士が24時間常駐の場合でも、入居者の急変や看取り対応をしている場合などに、オンコールの当番をしている看護師に連絡が行くようなシステムとなっています。
特別養護老人ホームでは、オンコール体制をとっている施設が全国的に91.6%を占めるという調査結果もあり、比較的広く使用されているシステムと言えるでしょう。
たん吸引や点滴など、医療的管理が必要な方の施設探しの場合には、「24時間看護師常駐」なのか「夜間はオンコール体制」であるかどうかも1つのポイントとなります。
医療依存度が高い高齢者や、特定疾患に指定されている疾患を持つ40歳以上の方であれば、24時間看護師常駐の施設を検討することもおすすめです。
また、入居した時点ではまだ自立度が高かった高齢者でも、年数を経るごとによって介護度が高くなり、基礎疾患がある場合にはADLも低下していくことが考えられます。
そうした中で、介護士が24時間常駐する施設は夜間に定期的な巡回もしているので安心ですし、急変時の看護師がオンコールで対応してくれると安心できる側面もあるでしょう。
【おわりに…】
このように、介護施設、有料老人ホームと言えども様々な種類があり、かつ、法規制によって縛りがある場合なども含めることを考えると、施設に詳しい専門家やケアマネにどのような介護や看護を求めるのかを伝え、探してもらうのがよいでしょう。
愛知県名古屋市においては、介護施設や老人ホームで24時間常駐している所は、介護士常駐が570件、看護師常駐は98件あります。
日中看護師常駐は386件のため、オンコール体制があるかどうかも事前に確認しておくことをおすすめします。
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