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2020/05/18
コラム

コロナに関係する「助成金」・「休業手当」を解説

新型コロナウイルスにより、介護事業所も含めた各企業の運営そのものへの影響が大きくなっています。
『介護サービス』は高齢者やその家族の生活を守るために必須ですので、今の状況下で介護事業所の運営を支えるため、コロナウィルスに関する様々な施策が打ち出されています。

こうした制度はちょっと見ただけでは、どんな制度なのかが分かりづらいものです。そこで、介護事業にも適用される主な制度をチェックして、理解を深めましょう。

①従業員が受け取る「休業手当」。「休業補償」とは違うの?
事業主が受け取る「雇用調整助成金」
「テレワーク」や「休校に伴う休業」への助成制度も

1. 従業員が受け取る「休業手当」。「休業補償」とは違うの?

従業員が受け取る「休業手当」とは

 休業手当 

老人ホームなどの介護施設に勤める「従業員」がもらえる手当
雇用主が従業員に対して払うもので、対象となるのは正社員だけでなく、パートやアルバイト、条件によっては派遣社員も含まれる

【どんな時に貰えるのか】
介護施設側の都合によって休みが出た場合に貰える。
職員が働ける状態であるにも関わらず「仕事が無くて暇だから休んでください」と言われた場合などが、それにあたる。

【手当の金額】
手当の額は、労働基準法によって定められている。
労働基準法によれば、平均賃金の6割以上を休業手当として支払われる。ここでいう平均賃金とは、以下を指す。
事由の発生日以前3ヵ月間に支払われた賃金の総額 ÷ 期間の総日数(暦日数)

 

注意が必要なのは、似た名称の休業補償とは異なるという点です。

 休業補償 

介護施設の職員や会社員などの「従業員」がもらえる補償
労災保険から支払われるため、労災保険の対象者あれば誰でも補償を受け取ることができ、正社員だけでなくパートなどでも受取り可能

【どんな時に貰えるのか】
労働者が事故や病気によって働く能力がないため、会社を休まなければならないケースに適用される。災害や介護施設内での感染病も補償対象

つまり、「新型コロナウイルス感染症」の場合でも、医療従事者や介護施設で働く職員なども含め、仕事をしている人が感染した場合、休業補償が適用されるとが考えられます。

このように、「休業手当」と「休業補償」は、別の制度であるとを覚えておくとよいでしょう。

 

2. 事業主が受け取る「雇用調整助成金」

事業主が受け取る「雇用調整助成金」とは

新型コロナウイルス感染拡大防止に伴って注目されているのが、「雇用調整助成金」というものです。

この制度は平時でも設けられていますが、2020年4月から6月いっぱいまで特例措置が設けられ、条件が緩和されているのです。
この制度は愛知県名古屋市においても適用可能となっています。

 雇用調整助成金 ※特例措置

特例措置では業種に関わらず、新型コロナウイルス感染症の影響によって売り上げが下がった企業に支払われる。客足の減って売り上げが減少した場合、営業自粛要請に従って休業した場合など、前年比で売り上げが5%減少していれば適用(緩和前は10%)される。

【目的】
この助成金の目的は「雇用の維持」。
コロナウィルスの影響を受ける事業主が、職員に対して支払う休業手当を国が助成することで、雇用の維持労働者の生活の安定確保を図るのが目的。

【介護施設の場合】
デイケアやデイサービスなど「通所介護」の規模の縮小や、お泊りの「ショートステイ」、「長期入所」の利用者の受け入れストップや制限など、コロナウィルス感染症の影響を受けている事業所が対象。

【助成額】
まず平均給与額を算出し、それに対して定められている「助成率」をかける。中小企業であれば4/5、大企業であれば2/3と決まっている。
今回、特例措置によりさらに助成率が上がっており、事業所内で従業員を解雇しない場合は、中小企業で9/10大企業で3/4の助成率となる。

 

この雇用調整助成金は、企業が従業員を解雇しないように促すためのもので、「新型コロナウイルスの影響で人件費を減らすために従業員を解雇するのではなく、休みを出してください」と言っているのです。

つまり、「解雇せずに休みを出したのであれば、その休業手当分を助成金という形で助けます」という制度なのです。

老人ホームなどの介護事業所、特に「通所介護」では、クラスターの発生により、愛知県名古屋市内の一部地域休業要請が一時出されていました。

今現在も事業内容を制限せざるを得ない状況の事業所も多く、特に介護事業ではパートなどの非正規雇用者も多いため、解雇のリスクを抱えています。

人材が不足している介護業界において、この助成制度がうまく活用されて介護の現場で働く人たちを守ってくれることを願うばかりです。

 

3. 「テレワーク」や「休校に伴う休業」への助成制度も

「テレワーク」や「休校に伴う休業」への助成制度

新型コロナウイルスの影響はかなり広い範囲に及んでいますので、他にもいろいろな制度が設けられています。

その1つが休校に伴う休業への助成制度です。

休校が続く小学校、特に低学年の子どもは一人で家にいるのは難しく、親が仕事を休まざるを得ない状況です。当然、その分は収入が減り、家計に大きな負担がかかります。

こうした家庭の救済制度として、企業に支払われる助成金フリーランスの方に支給される支援金があります。

 

 新型コロナウィルス感染症による小学校休業対応助成金 

小学校等が臨時休校した際に、その小学校等に通う子どもを持つ保護者が、子どもの世話のために仕事を休むことにした場合、年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた企業に対する助成を行う。

その額は、最大で8,330円となっており、その範囲内であれば実際に支払った手当の100パーセントが企業に助成されます。

 新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金

フリーランスとして個人で働いている場合も、子どもの世話のため仕事が減った場合、補償を受けられます。

この場合は4,100円が定額で、全ての申請者に支払われることになります。また、このケースでは親以外の祖父母等の親族も対象となります。

 

他の制度としては、テレワークを推進するための助成金もあります。

オフィスへの通勤を減らすため、自宅で仕事をするテレワークが推進されていますが、そのためには自宅にモニターやパソコン、インターネット環境を置くなど、設備資金がかかるものです。

特に中小企業では、テレワークをしたくても、その環境を作る費用の工面が大変という現実があります。

 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)の特例

新たにテレワークを始めた企業に対して、実際にかかった設備投資費用の50パーセントを助成する制度で、上限は100万円

テレワークは一般の企業だけではなく、介護の業界でもたくさんの事務作業があるので、一部をテレワークとすることによって感染のリスクを下げられます。

もちろん、その場合には並行して「個人情報の管理」について、十分に守られるような仕組みづくりが重要となります。

 

おわりに

新型コロナウイルスの影響は、老人ホームなどの介護施設を運営する事業者にも、そこで働く従業員にも大きなダメージを与えています。

感染防止のためにいろいろな措置をしている事業者、そして個人を守るために、いくつもの助成制度があります。また、前から存在している補償制度をより使いやすくするといった動きもあります。

介護業界においても制度を活用し、施設も従業員もしっかりと守っていくことが大事です。それは、介護サービスの利用者の安心にもつながりるでしょう。