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2020/03/02

ケアプラン「自己負担」の動向

介護サービスを利用する際には、あらかじめケアマネ―ジャーに介護サービス計画書「ケアプラン」を作成する居宅介護支援(ケアマネジメント)を依頼し、それに応じて適切なサービスを受けることができます。

このケアマネージャーによるケアマネジメントについては、2021年から導入される制度改革の際に自己負担となることが検討されていましたが、厚生労働省は「見送り」としました

もしもケアマネージャーによるケアプラン作成が自己負担になると、愛知県名古屋市を含めた自治体にはどんな影響があるのでしょうか。

【 目 次 】

①そもそも「ケアプラン」とはどんなもの?
②具体的にはいくらの負担になるの?
③見送りになったものの、早期導入の声も。

 

1.そもそも「ケアプラン」とはどんなもの?

「ケアプラン」とは?

 

ケアプランとは

介護が必要な利用者の希望や状況に基づき、具体的にどんなサービスをどのぐらいの頻度で利用出来るのかというものを作成した計画書

 

ケアプランは、実は利用者本人やその家族が作成しても良いのですが、介護保険サービスのプロフェッショナルであるケアマネ―ジャーに相談した上で、通常はケアマネ―ジャーが作成することになります。

ケアプランを作る際には、まず居宅介護支援事業部のケアマネ―ジャーとヒアリング(聞き取り)を行い、現在の健康状態家庭環境生活環境などを詳しく伝えていきます。

 

その際には、本人がどんな生活を希望しているのかという点はとても大切ですし、具体的に現在「できること」と「できないこと正しく把握することが大切です。

また、利用者本人だけではなく、家族からの希望も伝えることができるので、ケアマネ―ジャーとヒアリングをする前に、まずは家族の間で話し合いをし、どんなことができると便利だとか、こんな風に生活したい、といった希望をリストアップしておくことをおすすめします。

 

もちろん、リストアップした希望をケアプランで全てカバーできるわけではないですし、理想的な生活を手に入れられる保証はありません。

しかし、希望やリクエストがあったほうが、ケアマネ―ジャーにとってもケアプランを作成する際に方向性を決めやすくなるので、利用者及びその家族にとっては満足度が高いケアプランを得られます。

 

ケアマネ―ジャーは利用者及びその家族とヒアリングをした後、ケアプランの原案を作成します。

その原案をもとにして、サービスを提供する老人ホームなどや介護施設の担当者など、本人に関係する事業所ともすり合わせを行って、本人や家族がより具体的なサービス利用について検討することになります。

 

ケアプランは、利用者や家族だけではなく、ケアマネ―ジャーや介護福祉施設など、関係事業者も関わって最終的なプランを作成していきます。

最終的には、利用者と本人が同意しなければ正式なプランとしては成立しないため、納得できるまで話し合いを重ねながらプランを調整することができます。

 

もしもケアプランを利用者及び家族が作成する場合には、セルフケアプランと呼ばれるものを作成します。

セルフケアプランの作成に当たっては、地域包括支援センター全国マイケアプランネットワークといった組織からサポートを受けることが可能です。

 

セルフケアプランのメリット

・自らサービスの必要性を精査できるためコスト面のメリットが期待できる
・ケアマネ―ジャーが利用調整する介護福祉施設は、ケアマネ―ジャーの所属する事業所の関係施設や、固定化された紹介先が多いため、セルフだと選択する事業所の幅が広がる可能性がある

セルフケアプランのデメリット

・点数計算や制度など、専門的な知識が必要とされる
・介護施設とのやり取りや、プラン調整、手続きや処理を全て行う必要があるため手間や時間がかかる

 

2.具体的にはいくらの負担になるの?

 

ケアプラン作成にかかる負担は?

 

厚生労働省が見送った「ケアプラン作成費」というのは、ケアプランをケアマネ―ジャーに依頼した時に発生する費用のことです。

ケアマネ―ジャーが仲介しないセルフケアプランの場合は、自己負担になってもあまり影響はないでしょう。

しかし、もしもこれが自己負担になった場合、介護福祉サービスの利用者及び家族には、具体的にいくらの負担がかかるでしょうか。

 

ケアプランの作成に当たっては、利用者一人当たりにかかる自己負担は現在0円となっています。

介護保険サービスを受ける際には、サービス料金の1割(所得に応じて2~3割)が自己負担となりますが、ケアプランの作成については例外的に自己負担はありませんでした。

しかし、国の財政が苦しくなっているため、このケアプランの作成についても1割の自己負担を求めたい、というのが今回のケアプラン作成費の自己負担問題というわけです。

 

ケアプランを作成する際には、利用者にかかる自己負担は現在はナシなので0円となっていますが、実際にはケアマネ―ジャーに対して介護保険の保険者から「居宅介護支援」という、ケアマネジメント費として約1万円の支払い(実際にはケアマネージャーが担当する利用者数により、報酬は変動します)が行われています。

 

ケアプラン作成費が自己負担となった場合の負担額

1割負担:約1,000円
2割負担:約2,000円
3割負担:約3,000円

 

全額負担になるわけではなく、他の介護サービス同様にかかる費用の一部を負担という点で、その是非については賛否両論なのです。

 

3.見送りになったものの、早期導入の声も

 

厚生労働省の発表では、ケアプラン作成の自己負担については、今回は見送りということになりました。

そのため、少なくても2021年~2023年の第8期となる計画期間においては、ケアプラン作成の自己負担はなくなったことになります。

 

これから介護保険サービスを利用しようと考えている世代にとっては、ホッと安心できるところですが、自己負担を見送ったことによって、引き続き公費と国民から徴収される介護保険料で負担することになります。

介護保険料は現在、半分が公費(国:都道府県:市町村=5:2.5:2.5)残り半分が40歳以上の国民が納める介護保険料で賄われています。

しかし、その負担が限界に達していることから、出来るだけ早期に導入して欲しいという声が上がっているのです。

 

ケアプランの品質問題

 

もしも自己負担制度が導入されることになると、ケアプラン作成をケアマネージャーに依頼すると利用者と家族には自己負担が発生します。

しかし、昨年末の統計で668,7万人が何かしらの介護認定を受けていることを考えると、仮にその全員がケアマネージャーにケアプランを依頼しているとすれば、毎月【6687,000人×10,000円】という額がケアマネジメント費として支払われていることになります。

それだけの費用ですから、自己負担導入に必要性を感じている人も少なくないでしょう。

しかしながら、厚生労働省が自己負担導入を見送った理由は、自己負担制度を導入による、介護保険サービスの利用控えや、セルフプランの増加でケアプランの質が低下するなど、介護保険の目的である自立支援に繋がらなくなってしまうといった声もあります。

 

おわりに…

介護保険サービスを受けるための最初のステップとなるケアプランの作成については、誰がその費用を負担するのかという点で話し合いが今後も続けられていくでしょう。
介護サービスを必要とする利用者や家族を始め、その費用を介護保険料という形で支払っている被保険者や国や自治体にとって、制度が正しく整備されることが、愛知県名古屋市でも強く求められています。