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ケアまどニュース
2025年の育児・介護休業法改正。背景とポイント。

2025年4月から、育児・介護休業法が改正されます。今回の改正では、男性の育児休業取得促進をはじめ、育児と仕事の両立を支える企業側の体制強化が求められています。少子化対策の一環として、働く家庭を社会全体で支える仕組みがより重視されており、企業・従業員の双方にとって重要な転換点といえるでしょう。この記事では、法改正の概要と企業に求められる対応、介護現場にも関わるポイントについてわかりやすく解説します。
改正の背景と目的は「男性育休」の実質的取得促進
2025年の法改正の主な目的は、男性の育児休業取得率の向上と、育児休業制度の実効性の確保です。
現在、日本における男性の育児休業取得率は上昇傾向にあるものの、依然として女性に比べて大きな開きがあります。2022年度の男性育休取得率は17.13%で、政府が掲げる「2025年に30%」という目標にはまだ届いていません。
このため、改正法では以下のような企業義務が強化されます:
-
育児休業制度に関する職場環境の整備義務
-
育児休業の意向確認の「個別周知」義務(男女ともに対象)
-
企業の取得状況の「公表義務」対象範囲の拡大
特に意向確認の義務化は、従来の「案内して終わり」から、「取得しやすい環境づくり」へと質が問われる変更点です。育児休業が“権利”として実際に行使される社会を目指す、大きな一歩といえるでしょう。
企業に求められる「制度整備」と「運用の透明化」
今回の法改正では、企業側の取り組みにも大きな変化が求められます。特に中小企業にとっては、制度設計や社内体制の見直しが必要不可欠となります。
具体的には以下のような対応が必要です:
●育児休業に関する「個別周知」と「取得意向確認」
対象者一人ひとりに対し、制度説明と取得の意向を確認することが義務に
●育休制度の社内整備・マニュアル化
人事担当者や管理職が制度を正しく理解し、相談対応できる体制を整備
●取得状況の公表義務対象の拡大
常時雇用者1,000人超から「301人超」へと対象範囲が広がる
このほか、制度に関する研修の実施や、業務分担の見直しなどもスムーズな運用の鍵となります。「取得されても業務が回る」職場づくりが、今後の企業価値を左右するポイントになるでしょう。
介護職場への影響と、仕事と家庭の両立支援
今回の改正は育児休業が中心テーマですが、介護や家族支援との共通課題も多く含まれています。介護業界は慢性的な人材不足に加え、職員自身が家庭の介護を担うケースも増えており、「働きながら家族を支える」支援体制の整備が急務です。
ポイントとしては以下のような観点が挙げられます:
●介護休業制度の理解と周知
・現行制度では、家族1人につき通算93日までの休業が可能
・分割取得も可能なため、柔軟な運用が鍵
●両立支援としての業務体制の見直し
一部の業務をチームで分担できるようにするなど、属人化の解消が重要
●福祉現場における人事制度の柔軟性
パートタイム職員や夜勤専従者にも対応した制度設計が求められる
育児・介護を「個人の問題」とせず、組織としての支援体制を整えることが、離職防止や職場定着のカギになります。
まとめ
2025年の育児・介護休業法改正は、男性育休の実効性を高め、働く人すべてが育児や介護と両立できる社会を目指すための重要な制度改正です。企業には職場環境の整備と、制度を「利用しやすくする」工夫が求められます。福祉・介護の現場でも、個人任せにしない支援体制づくりが、これからのスタンダードとなるでしょう。
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