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老人ホームの人員配置基準とは?介護施設ごとの違いや注意点を解説
多くの入居者がいる老人ホームでは、適切な介護が受けられるのか疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。老人ホームでは、入居者の人数に応じた人員配置基準が定められています。この記事では、介護施設ごとの違いや注意点について解説します。
1.老人ホームの人員配置基準とは?
2.介護施設の種別ごとに人員配置基準は異なる
3.老人ホームの人員配置基準で知っておきたいこと
4.老人ホームの人員配置基準は見直しが検討されている
5.まとめ
老人ホームの人員配置基準とは?
老人ホームの人員配置基準とは、入居者に対して配置すべき職員数を規定したものです。老ホームが適切なサービスを提供するためには、一定の職員数が必要です。人員配置基準に沿った職員数を確保することで、トラブル防止や緊急時の対処が可能となります。
「3:1」の基準について
多くの老人ホームでは、人員配置基準を「3:1」としています。つまり、入居者3人に対し少なくとも1人の介護士、もしくは看護師を必要とするものです。この数は常駐している職員の数ではなく、常勤スタッフの総数を示します。
介護施設の種別ごとに人員配置基準は異なる
介護施設の種別ごとに、異なる人員配置基準があります。ここでは、各施設で配置が必要とされる職種と役割をまとめました。
● 施設長:施設の管理業務
● 介護職員:日常生活のサポートや身体介護
● 看護職員:医療的ケアや医師の診察の補助
● 医師:定期健診や予防接種、診察など
● 生活相談員:関係者への連絡、調整、手続きなど
● 入居相談員:入居までの相談
● 機能訓練指導員:リハビリやケア
● 介護支援専門員:ケアプランの作成
● 事務員:介護報酬の請求や介護サービス利用料の計算など
● 栄養士:給食管理業務
以下では、介護施設ごとに求められる人員配置基準を解説します。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームに求められる人員配置基準は、以下の通りです。
●施設長:1人(専従)
●介護職員:入居者3人につき常勤1人以上
●看護職員:入居者30人までの施設では1人以上、それ以上では50人ごとに1人追加
●介護支援専門員(ケアマネジャー):入居者100人までの施設では常勤1人以上
●生活相談員:常勤1人以上
●機能訓練指導員:常勤1人以上
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームに求められる人員配置基準は、以下の通りです。
●施設長:1人
●介護職員:必要数
●看護職員:必要数
●生活相談員:必要数
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)に求められる人員配置基準は、以下の通りです。
●施設長:1人
●医師:入所者に対し健康管理及び療養上の指導を行うために必要な数(非常勤可)
●介護職員:入居者3人につき常勤1人以上
●ケアマネジャー:100人に対して1人以上
●機能訓練指導員:1人以上
●栄養士:1人以上
●生活相談員:100人に対して1人以上
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)に求められる人員配置基準は、以下の通りです。
●施設長:医師が担う
●医師:1人以上(常勤)
●薬剤師:実情に応じた適当数
●介護職員:入居者3人につき常勤1人以上
●看護職員:介護職員に含む
●理学療法士・作業療法士・言語聴覚士:1名以上
●栄養士:100人に対して1人以上
●介護支援専門員:1人以上
●支援相談員:1人以上
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に求められる人員配置基準は、以下の通りです。
●施設長:1人
●生活相談員:一定の職種・資格を有するスタッフが必要数常駐
※2022年9月の高齢者住まい法関連法令の改正により、事前に利用者の承諾を得た上で条件を満たしていれば、日中のスタッフ常駐も不要
グループホーム
グループホームに求められる人員配置基準は、以下の通りです。
●管理者:3年以上認知症の介護従事経験があり、厚生労働大臣が定める研修を修了した者が常勤専従
●介護職員:入居者3人につき常勤1人以上
●計画作成担当者:1ユニットに対して1人以上(最低1人は介護支援専門員)
老人ホームの人員配置基準で知っておきたいこと
ここでは、老人ホームの人員配置基準で知っておきたい以下の3つの点を解説します。
職員は常勤であるとは限らない
老人ホームの人員配置基準で定められている職員の人数は、常勤であるとは限りません。介護施設は夜勤やパートなど、様々な形態の働き方があります。「3:1」の人員配置基準は、常勤基準になるため、非常勤職員などの時間数を、常勤1人あたりの時間数に換算する必要があります。これを常勤換算と言います。常勤換算によって求められた数字は、すべての職員の労働時間を「常勤の職員が何人働いているか」に換算した人数であり、「常勤の介護職員の総数に対し、働いている時間数が3:1」となっているのです。そのため1日の人員配置基準をクリアしていても、実際には時間帯によってスタッフが手薄になる時間もあるということです。
夜勤の場合は「3:1」より少なくてもよい
老人ホームでは、入居者の活動量が多い日中は多くの人員が求められます。一方で、入居者が就寝している夜間は、それほど多くの人員を必要としません。3:1の基準が定められている施設でも、日中は人員を多くし、夜間は少なくする対応が可能です。
「3:1」を上回る施設では、上乗せ介護費用が必要になることがある
手厚いサービスを提供するために、人員配置を3:1以上の数にしている老人ホームもあります。人員を多くしている施設では人件費がかかるため、上乗せ介護費用が発生する場合が多いです。そのため、人員配置基準が3:1の設定施設よりも料金がかかります。
違反した場合は行政処分の対象となる
介護施設では、自治体ごとに期間は異なりますが、原則として6年以内に1度、運営指導が行われるのが通例です。入所系のサービスは、3年に1度行うことが望ましいとされており、行われている行政もあります。指導の際に、人員配置基準の違反が認められると、行政処分の対象となります。違反の内容により、事業の一時停止や指定取り消しなどの処罰が課せられます。
実際に人員配置基準を満たしていると思って入居していたのに、行政処分を受けてその事実が明らかになることもあります。
老人ホームの人員配置基準は見直しが検討されている
介護職員の人員不足や、介護ロボットやICT等のテクノロジー導入の流れを受けて、人員配置基準の見直しが検討され、2024年度の介護保険制度改正時には一部人員配置基準が緩和もされました。今後ますますICT化が進めば、改正のタイミングの都度議論になり、検討が進む可能性があるかもしれません。
まとめ
老人ホームの人員配置基準とは、入居者に対して配置すべき職員数を規定するものです。介護施設の種別にわけて、職種ごとの人数を定める規定があります。違反している施設は処分の対象となり、入居者の生活にも影響を与えるため、施設選びの際は念頭に置いておくことがおすすめです。
基本となる「3:1」の基準ですが、施設によってはそれよりも多く人員を配置し、手厚い介護を売りにしている施設もあります。厚生労働省の介護サービス情報公表システムなどを閲覧すると、従業者数などを確認することができますが、人員が多いのかどうか一目では判断がつかないと思います。介護の窓口【 ケアまど 】 老人ホーム紹介センター 有松相談所は、調べてほしい情報についてお伺いし、速やかに対応させていただきます。ぜひご相談ください。
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