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2019/01/28
コラム

寒い季節も要注意!高齢者の冬脱水

脱水という言葉を聞くとをイメージする方が多いと思います。

もちろん気温が高く大量の汗をかきやすい夏は水分不足に陥りやすいのですが、実は脱水にも起こりうる現象です。

ここでは寒い季節に起きる「冬脱水」についてと、なぜ高齢者が特に気を付けなければいけないかを説明していきましょう。

 

なぜ起こる?冬脱水のメカニズム

脱水イメージ

水は生命維持のために必要不可欠なもので、体の中で水分が占める割合は成人で60%(高齢者は50%)にも上ります。

体液は血液、リンパ液、消化液から成り、水分と塩分は体外に排出される分と同じだけ補給されるのが理想的です。

 

しかし、水分が大幅に失われてしまうとこのバランスは崩れてしまいます。

 

例えば、真夏の炎天下のなか屋外にいたり、高熱を出した時などは大量に汗をかきやすいですよね。

このような時に起こりやすい、水分や塩分が不足した状態のことを脱水症といいます。

 

脱水症になると、体には十分な酸素や栄養がいきわたらなくなります。

なぜなら、体液は呼吸から取り込まれた酸素や食べものから摂取した栄養素を体のすみずみまで運ぶという重要な役割があるからです。

脱水状態をそのまま放っておくと、血管や内臓、脳などが十分に機能しなくなってしまい、命に係わるような危険な状態になってしまうこともあります。

脱水症は症状が軽いうちに適切な対処をすることが非常に重要なのです。

 

脱水症がに起こりやすいのはイメージしやすいのですが、実は前述したようにでも油断することはできません。

 

気温の低い冬には夏ほど一気に汗をかくことはありませんが、普通に生活しているだけでも排泄や呼吸、皮膚など、体から水分はどんどん失われていきます。

さらに冬場は空気が乾燥していますし、暖房をつけると室内はさらに乾燥します。

すると、体内の水分はより一層体の外に出て行ってしまいます。

特に気密性が高いマンションでは、エアコンを使用するとより乾燥しやすので、加湿器などを使用するのがおすすめです。

 

 

高齢者は特に注意!被介護者に対しても気を付けたい水分補給

 

脱水を特に気を付けなくはならないのが高齢者です。

食欲、嚥下機能の低下や、体液が蓄積される筋肉の減少、内臓の働きの低下など高齢者には水分不足に陥るさまざまな要因があるのです。

特に腎機能が低下すると、体内の水分量や塩分量が適切に保持されなくなることがあるので要注意です。

 

さらに、高齢になるとさまざまな感覚が鈍ることから、水分が不足していてものどの渇きを感じにくい人が多くいます。

中でも認知症の方は、水分を摂ったかどうか自体を忘れてしまい、長時間水分をとらず、周囲が気付いた時には危険な状態になっているということもあるのです。要介護状態の人に対しては、周囲の人も十分に気を付ける必要があるでしょう。

 

また、持病のある方も注意が必要です。

例えば糖尿病は多尿になりやすいため脱水症の危険があります。

これはブドウ糖を尿と一緒に排出するために体の中の水分が使われてしまうためです。

 

他にも、病気で服用している薬が影響する場合もあります。

例えば高血圧の方には、体内のナトリウムを尿と一緒に排泄するために利尿薬が処方されることがあるため、水分が体外に排出されやすくなります。

 

1日に摂取する水分量の目安
1日に必要な水分摂取量は、体重や年齢、性別などにもよりますが、食事などから接種できる水分量を差し引くと、通常1日1~2リットルほどと言われており、コップ1杯程度の量を8~9回摂ることが目安となります。

 

例えば、1日3回の食事、起床時、午前中、おやつタイム、入浴前、入浴後、就寝前に摂取すると、ちょうど計9回となります。

普段水分補給を意識していない人は、これらのタイミングで上手に水分を摂取しておきましょう。

 

特に冬場の入浴はヒートショックの危険もあるので、水分を摂取してから入浴するのがおすすめです。

 

ただし、アルコールは水分の排せつを促すのでこれには含めません。

また、カフェインの含まれる飲み物も利尿作用があるので注意が必要です。

例えばお茶であれば、緑茶や紅茶よりも麦茶がおすすめです。

 

 

脱水症状の見分け方と対策

軽度な脱水症状としてのめまいやふらつき

脱水症状に陥った時の対策も知っておくと良いでしょう。脱水の初期段階は自覚症状がないことも多く、他の症状と見分けがつかないこともあります。

チェックできるポイントを抑えて、できるだけ早い段階で適切な対処をすることで重症化を防ぐことが大切です。

 

まず、尿の量がいつもより少ないかどうかが一つの目安になります。

また、水分が不足すると血行が悪くなることから、手足が冷たくなり、手の爪を押すと元のピンク色に戻るまでに2~3秒かかったり、唇や舌が渇くようになります。

特に普段湿っぽいはずのワキが乾いていたら注意が必要です。

頭がボーっとする、うとうとする、めまい、ふらつきといった症状も軽度な脱水症状の一つです。

このような症状があれば、まずは十分な水分と電解質を補わなければなりませんが、この2つが揃えられるのが、水に食塩とブドウ糖を溶かした経口補水液です。

 

経口補水液は飲む点滴とも呼ばれており、ドラックストアなどでよく売られていますし、自宅でも簡単に作ることができます。

作り方は、水1リットルに3グラムの食塩と20~40グラム程度の砂糖を溶かすだけです。

レモン果汁を入れるとさわやかで飲みやすくなりますよ。

ただし、塩分に制限のある方はあらかじめかかりつけのお医者様に相談しておくと良いでしょう。

 

経口補水液は、脱水の症状があらわれてから4時間以内に飲むと効果的です。

量は成人の場合で1日0.5~1リットルが目安となりますが、一気に飲むのではなく1時間くらいかけてゆっくりと飲むと吸収されやすくなります。

 

そして、脱水状態が中度までいくと、今度は頭痛や吐き気が現れます。

尿量はさらに少なくなり、体重減少、嘔吐、下痢といったように目に見えて体調が悪くなっていきます。

このような場合も、4時間以内に経口補水液をゆっくりと時間をかけて飲むようにします。

 

もしも下痢を伴うようであれば、排泄のたびにさらに経口補水液を飲ませます。

嘔吐した場合は、吐いた量と同じくらい飲ませましょう。

ただし、一気に飲用すると嘔吐を繰り返してしまうので注意します。

 

脱水症は重症化してしまうと、声をかけても反応しなくなり、意識喪失や痙攣を起こすこともあります。

このような場合には、経口補水液を飲ませるという方法では間に合わないことがほとんどです。

すぐに医療機関を受診して医師の判断を仰ぎましょう。対応が遅くなれば命に関わることもあるので十分な注意が必要です。

また、軽度~中度の症状であっても、症状が改善しない、もしくは悪化している場合には医療機関に相談しましょう。

 

前述したように経口補水液は自宅で作ることもできますが、すぐに対処するために市販のものを常備しておくのがおすすめです。

脱水症対策はもちろんのこと、ノロウイルスなどの、嘔吐や下痢を伴う感染症の際にも有効なので、年間を通して準備しておくと安心でしょう。

 

脱水症は、高齢になればなるほど自分では気づかない内に進行しやすいということが特徴です。

乾燥しがちな冬場の室内にも危険はあるので、加湿器を使ったり定期的に水分摂取をしたりと、意識的に対策したいものです。

また、介護施設に入所している高齢者の場合にも、暖かい室内は乾燥していることが多いので、施設でどんな対策がされているか尋ねてみるのも良いかもしれません。

 

愛知県名古屋市には老人ホームをはじめとしたさまざまな介護施設があります。入所する際には、水分摂取についても聞いておくとより安心でしょう。