老人ホームの中には看取り介護まで対応できる施設もあり、施設で看取り介護を受けられることがあります。この看取り介護ではどのようなケアを受けられるのでしょうか。ここでは、老人ホームにおける看取り介護の流れや入居者本人と家族にとってのメリットなどを解説します。

老人ホームや介護施設の看取り介護はケアプランの作成から始まる

老人ホームや介護施設で行われる看取り介護とは、病気や老衰などで回復が見込めず人生の終末期にある入居者が穏やかに満足して過ごすための介護のこと。延命治療ではなく、身体的苦痛や精神的苦痛の緩和を目的とした日常的なケアを行うのが特徴です。

看取り介護では、入居者本人と家族、スタッフが介護の方針を共有するために、看取り期のケアプランが作成されます。入居者本人や家族の看取りに対する意向を聞き取り、ケアマネジャーが中心になって介護士や看護師、医師などのチームで入居者や家族の希望を実現するケアプランを検討します。ケアプランは一度決めたらそのままではなく、また入居者の体調や状況に変化があれば、随時見直しが行われます。

老人ホームや介護施設での看取り介護は家族の負担を軽減することができる

在宅での看取り介護では、家族が身の回りの介護だけでなく家事も担いながら看取りを行うことになります。訪問看護やヘルパーによる訪問介護の利用もできますが、それ以外の時間は家族が介護を行わなければなりません。介護と家事の負担が継続するほど、家族は疲れ切ってしまう方も少なくありません。老人ホームや介護施設での看取り介護を利用すると、このような家族の負担を軽減できます。

看取り介護で重要なのは、入居者と家族への精神的な支えです。施設の看取り介護では身体的なケアを老人ホームのスタッフが行いますので、家族は入居者との平穏な時間を過ごすことに集中できるようになります。

家族の負担を軽減するだけでなく本人も安らかな最期を迎えられる

病気や老衰などで回復が見込めない終末期に、老人ホームや介護施設の看取り介護を受けると、入居者自身の精神的な負担を軽減するというメリットがあります。家族が自分の介護で疲弊していく姿を見るのは辛い、あるいは最期まで自分らしく過ごしたいと感じる方も少なくありません。

老人ホームでの看取り介護なら、身の回りのことをプロに任せられるため、家族の負担を気にすることなく必要なケアを受けられます。家族に心の余裕があると和やかな交流ができるようになり、入居者と家族がお互いに満足のできる終末期を過ごせるでしょう。また、慣れ親しんだ施設で顔なじみのスタッフから、自分の希望に沿った十分なケアを受けられるという満足感や安心感は、入居者の精神的負担を軽減してくれます。

今回のまとめ

老人ホームや介護施設での看取り介護は、家族の負担を軽減するだけでなく、入居者本人にとってもメリットが多く、入居者の希望に沿った安らかな最期を迎えられるようになります。そのため、看取り介護では入居者や家族の意向を聞き取った上で、ケアマネジャーを中心としたチームで最適な看取りを行うケアプランの作成が重要です。