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2023/04/03
コラム

老人ホームや介護施設への入居前に知っておきたい認知症の「異食」とは?

老人ホームや介護施設への入居前に知っておきたい認知症の「異食」とは?

認知症それ自体の症状である「中核症状」には、記憶障害や見当識障害があります。中核症状と生活環境や心理状態が関連しあうことで、二次障害であるBPSDが生じるのです。BPSDの中でも、異食は特に見守りや配慮を要する症状と言えるでしょう。ここでは、老人ホームや介護施設への入居を検討する際に知っておきたい異食について解説します。

認知症のBPSDのひとつ「異食」とは?

認知症の症状には、脳の病変から直接生じる記憶力や判断力の低下の他に、中核症状から引き起こされる周辺症状「BPSD」があります。「異食」はこの周辺症状の一つであり、食べられないものでも口に入れてしまう行動です。
異食で口に入れてしまうものとして、ボタンティッシュビニールなどが挙げられますが、どれも日常的に身の回りにあるため、手に取ったものを口に入れてしまうケースが少なくありません。食事の時間でもないのに口をもごもごさせていて、口の中を見たら異食だったということも多く見られます。お菓子の小袋やサランラップなどが喉を塞いでしまうと窒息するおそれがあり、洗剤や電池、たばこなど毒性があるものを飲み込んでしまうと大変危険です。自分のはいているおむつを割いて食べてしまったり、着ている衣類をほどいてひもを食べてしまったりするほか、便を口に持っていくこともあります。

異食などのBPSDが起こる原因と対策方法

認知症が進むと道具の使い方が分からなくなるだけでなく、「手に取ったものが何であるか」を正しく認識・判断する能力も低下します。そのため、手で触って眺めてみて、よくわからないから口に入れてみるという行動に繋がりかねません。異食をするようになったら、身の回りに危険なものを置かない長時間ひとりで過ごさせないなどの配慮が必要です。
BPSDは、不安やストレスが強い場合や、やることがなくて退屈だったりする際に起こりやすいので、強く叱ったり、くどくどと言い聞かせるのは逆効果です。歯磨きに誘ったり、食事を小分けしておやつの回数を増やしたりして、メリハリをつけると効果的です。お菓子の小袋や包み紙を口に入れてしまう場合もありますので、皿などにあけて渡すと安心です。体調によってBPSDが悪化している場合もありますので、肺炎強度の便秘になっていないかのチェックも欠かせません。

異食行動が見られ始めたら老人ホームや介護施設への入居を検討しよう

BPSDの中でも、異食は認知症がある程度進んだ段階で現れる症状です。食べられるものかそうでないものかが判断できなくなって口に入れてしまうようになり、満腹を判断する脳の機能が低下して異食の頻度が上がります。通常では考えられないようなものも、口に入れてしまいますので、介護者は目を離せなくなってしまうのです。
異食行動が見られ始めると常に見守りが必要になり、介護に取られる時間が増えますので、介護度が上がりやすくなります。異食行動が見られ始めると、在宅での対応が難しくなってしまう場合も多いです。ショートステイデイサービスなどの介護保険サービスを使いながら、介護者が疲れ過ぎないような配慮が必要になります。早めに専門医やケアマネジャーなどに相談して、老人ホームや介護施設への入居も視野に入れて検討しましょう。

今回のまとめ

食べられないものを口に入れてしまう「異食」は、認知症の周辺症状であるBPSDの一つです。食べ物とそうでないものの判別ができなくなり、手に取ったものを口に入れてしまって窒息や中毒になるリスクが高くなります。異食行動があると常に見守りが必要な状況になり、介護者も疲れてしまうでしょう。その際には、老人ホームや介護施設への入居の検討も視野に入れることをおすすめします。