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老人ホームや介護施設の入居者が世帯分離を行うことで得られるメリット
老人ホームや介護施設の入居者の中には、世帯分離を検討する方も少なくありません。世帯分離とは、親子間などで「生計が別である」という手続きをすることで、年金生活の親など、本来は所得の少ない方の世帯の住民税を軽減するのが目的です。ここでは、老人ホームや介護施設の入居者が世帯分離を行うメリットについて詳しくご紹介します。
老人ホームや介護施設の入居者が世帯分離を行う目的は費用対策
老人ホームや介護施設の入居者が、世帯分離を行う主たる目的は費用対策であり、特に介護費用対策を目的とすることがほとんどです。介護保険料は所得によって算出され、介護保険料を上回るサービスの利用は全て自己負担です。この負担額については高額介護サービス費制度で決められるのですが、この高額介護サービス費も所得によって決定します。このように、介護保険や介護にかかる費用は所得によって決まるので、所得が多いと判断されると、払うべき費用が増えてしまうのです。
例えば、正社員で働く息子と、収入が国民年金のみの母親が居るとします。介護保険料は、世帯で合算した所得で負担額が決定されるため、本来の母親の所得の場合よりも介護保険料の負担額が高くなってしまうのです。こういった費用負担を抑えるために、介護保険を活用する老人ホームや介護施設の入居者は世帯分離を検討するケースが少なくありません。
合計所得額は低いほど自己負担限度額が少なくなる
合計所得額は低いほど、介護保険サービスを利用した場合の負担割合も下がります。介護保険負担割合証に自己負担割合が記載されており、この負担割合は世帯の公平性を保つ目的から、世帯の収入額によって大きく異なるのです。
■65歳以上の人が世帯に1人
本人の合計所得金額が160万円未満、もしくは本人の年金収入とその他の合計所得が280万円未満であれば、1割の自己負担で介護サービスが受けられる。
■65歳以上の人が世帯に2人
本人の合計所得金額が160万円未満、もしくは本人の合計所得金額が220万円未満で本人と同一世帯の65歳以上の方の年金収入とその他の合計所得が346万円未満でないと1割負担にならず、条件が厳しくなる
いずれも65歳以上の親と子で同一世帯となっている場合で、まだ働いている、年金額が多いなどの理由で子の収入が多い場合、合計所得を下げて自己負担限度額を少なくするために、世帯分離をするケースが多く見られます。
世帯分離をする前に考えたい合計所得額と費用対策
世帯分離は費用負担が下げられるのでメリットばかりだと思われるかもしれませんが、世帯分離をする前に合計所得額と費用対策について注意しなければいけない点があります。
世帯分離をするとネックになるのが、国民健康保険料の負担額が増えるケースがある点です。また、同じ世帯に現役で働いている子どもがいる場合には、その子供の扶養に入っているケースが多いため、扶養から抜けることで扶養手当がもらえなくなる、会社の健康保険が利用できなくなるといったことも想定して総合的に判断する必要があります。
健康保険の負担を含めて考えると、結果的に損してしまうというケースも出てきます。世帯分離をする前に、世帯分離をした後の費用対策に見合った世帯収入になるのか、合計所得額がどうなるのか確認してから検討してください。
今回のまとめ
世帯分離をすれば介護保険の自己負担額が大きく減るので、費用対策に効果的です。一方、世帯分離によって損をしてしまうこともあります。世帯分離は必ずした方が良いというわけではありません。世帯によっては世帯分離をしなくても良いケースがあるので、ご自身の世帯の合計所得なども算出した上で検討してみることをおすすめします。
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