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2018/08/27
コラム

8月からスタート。介護保険の負担割合3割導入

日本で介護保険制度が始まったのは西暦2000年。

当初、自己負担割合は所得にかかわらず、原則1割とされていました。

それが2015年8月、介護保険改正で一定以上の所得がある人の自己負担割合が2割に引き上げられました。

そのわずか3年後――2018年の8月1日以降は、現役並みの所得がある人については3割を負担することになりました。

Youtube】でも解説しています↓
▼介護保険の「負担割合」ってなに?※2021年法改正で変わるポイントも解説しています

▼「介護保険負担割合証」ってなに?

そもそも介護保険の負担割合とは

介護保険の負担割合とは

介護保険の財源は、50%が公費つまり国や地方公共団体がもつ税収入から、もう50%が保険料から支払われています。

公費の負担分をさらに半分ずつ、国と地方公共団体で折半し、地方公共団体負担分はさらに各「都道府県」と「市町村」で折半しています。

そして残りの50%、すなわち保険料の負担分は、第1号保険料(65歳以上被保険者の負担分)と第2号保険料(40歳から64歳までの被保険者の負担分)でまかなうのですが、そのどちらがどのくらいの割合で賄うのか、というのは人口比に従って按分されます。

 

この第1号と第2号の人口比による調整は3年ごとに見直されます

以上の合計額が、介護保険にかかるお金のほとんどを負担する形になっているわけですが、今のべた保険料というのは、自己負担割合とは別のものです。

保険料以外に、介護サービスや介護予防サービスを利用するたびに自己負担分を支払う必要があるのです。

なぜなら、最終的には国民の税金や保険料から出ているとはいえ、サービスを利用するときには使い放題というのでは、ついつい野放図な利用してしまうかもしれません。

そうなれば無制限に介護費用が膨張してしまい、国民経済そのものへの大きな圧迫となります。

 

そこで介護保険を利用するごとに、ある程度のお金を利用者にも負担してもらうことで、無制限な使用を抑止するねらいがあるのです。

この自己負担の割合は、介護保険法の制定時には原則すべて1割だったのですが、高齢化にともなう費用の増大におされて、2015年以降はある程度の収入がある人に2割を負担してもらうことになり、さらに今年から、2割だった層のなかでも現役並みの所得を持つ一部の人々についてのみ、3割負担が実施されることになったのです。

負担割合はどんなふうに決まるのか

まず、第2号被保険者(40歳以上65歳未満の人)、市区町村民税が非課税の人、および生活保護を受給している人は、一律の1割負担です。

つまり2割か3割の負担になる可能性があるのは、上の条件にあてはまらない第1号被保険者(65歳以上の人)に限られるのです。

第1号被保険者が何割負担になるかは「合計所得金額」によって決められます。

 

合計所得金額とは、総合課税分(給与・年金・譲渡・配当などが含まれます)と申告分離課税分(土地建物や株式の譲渡所得など)等の所得を合計した金額です。

気をつけなければいけないのは、医療費や扶養などの所得控除について「控除される前の金額」だということに注意してください。

土地建物等の譲渡所得についての特別控除なども、控除前の金額が合計所得金額となります。

平成30年度からは、短期・長期譲渡所得に係る特別控除の金額については、「差し引いた後」の金額になります。

いずれにしても要介護・要支援認定を受けた人は、毎年6~7月頃の時期に市区町村より負担割合証というものが交付されるので、これで自分の負担割合を知ることができます。

 

さてそれでは、合計所得金額が分かったとして、どのくらいの人が何割負担になるのでしょうか。

本人の合計所得金額が160万円未満の人については、1割負担のままです。

この金額は見直し以前から変わっていません。

 

つまりこれまで1割負担だった人が、今年の見直しによって2割や3割になることはありません。

あくまで「これまで2割負担だった人のうち、収入の多い一部の人が3割負担になる」ということなのです。

合計所得金額が160万円以上であり220万円未満の人については、年金収入とその他の合計所得金額の合計値から計算されますが「単身世帯か、2人以上世帯か」で異なります。

 

単身世帯の人は、この合計値が280万未満なら1割負担、280万以上なら2割の負担です。

2人以上世帯であれば346万未満が1割、346万以上が2割です。

 

本人の合計所得金額が220万円以上の人は、実は1割・2割・3割のどれもがありえます。

この場合も「年金収入+その他の合計所得金額」を合わせた額をもとにします。

 

合計値が単身なら280万円未満、2人以上世帯なら346万未満なら、1割負担です。

合計値が単身で280万以上340万未満、2人以上世帯で463万未満なら、2割負担。

そして合計値が単身で340万円以上、もしくは2人以上となる世帯で463万円以上の場合には、3割負担となるわけです。

 

よく出てくる「現役並みの所得のある方」「現役並み所得者」というやや曖昧な表現は、このカテゴリの人達を指しています。

しかし3割負担になった人が月々に負担する介護利用料については、一律に1.5倍の負担になるわけではありません。

高額の介護を必要とした人については、次に説明する介護高額サービス費というものがあるからです。

上限額以上の支払いがあると一部が戻ってくる?高額介護サービス費の活用

月々の介護サービス費で、自己負担額が上限額を超えると、その超えた分が払い戻されます。

ただ、高額介護サービス費の支給制度は、施設居住費など適用されない負担分もあるので注意して下さい。

他に不適用となる費用には、食事代や差額ベッドの代金、生活費などです。

在宅サービスを受けた場合の住宅改修や、福祉用具の購入費にも適用はされません。

 

上限額については、個人合計額か世帯合計額のどちらが適用されるかで大別されます。

単身の人、老齢福祉年金や生活保護を受給している人、合計所得金額と課税年金収入の合計が80万円以下の人については、個人合計額15,000円が適用されます。

 

この場合の計算方法は非常に簡単です。

負担した金額-自己負担上限額(15,000)=高額介護サービス費(払い戻される額)

ということになります。

たとえば20000円を負担した人がこれに当てはまる場合、5,000円を払い戻してもらえるということになるわけです。

 

世帯の自己負担上限額は3種類あります。

24,600円

37,200円

44,400円

 

いちばん上限額の多い44,400円の負担となるのは、上のほうでも出てきた「現役並み所得者」がいる世帯です。

37,200円が上限額となるのは、市町村民税を世帯全員のどなたかが課税されている方。

そして24,600円となるのは、世帯全員が市町村民税を課税されていない人で、個人合計額(15,000円)の適用がない人を除いた人になります。

 

ではこの世帯での合算の計算方法を見ていきましょう。

(世帯の自己負担額合計-世帯上限額)×自己負担額÷世帯の自己負担額合計=高額介護サービス費(払い戻される額)

上のようになります。

 

たとえば、ある夫婦2人の世帯で、自己負担上限額が37,200円であるとします。

そして夫が30,000円、妻が40,000円の自己負担をしている場合には、上の式に金額を当てはめるとこうなります。

夫に払い戻される金額
(30,000+40,000-37,200)×30,000÷(30,000+40000)≒14,057円
妻に払い戻される金額
(30,000+40,000-37,200)×40,000÷(30,000+40,000)≒18.742円

 

このように、かなり馬鹿にならない金額が帰ってくることが分かります。

ちなみに1円未満の端数については切り捨てとなります。

実際のところ、負担限度額にしても、適用されるサービス費についても、こういった役所への申請に関する計算は複雑な適用除外などがつきものです。

特に高齢の方には難しいのが実情でしょう。

役所に直接問い合わせをしてもかまいませんが、担当ケアマネージャーに確認してもらうこともできますので、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

以上のように介護保険の3割負担について概観しましたが、いかがだったでしょうか。

高齢者問題にかかる財政は非常に厳しく、このように高齢者の負担を引き上げざるを得ない状況になりました。

介護保険制度の維持のためのやむを得ない改正です。

介護関係者もできるだけ、内容の豊かな利用しやすいサービスを提供できるよう取り組んでいくことでしょう。