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ケアまどニュース
介護現場の「生産性向上セミナー」開始
民間企業では一般的な考え方となっている生産性の向上。
介護も含めた福祉分野においては、これまで生産性を向上させる取り組みは、個々の施設や職員に委ねられており、表立って言及される機会は決して多くありませんでした。
しかし、介護を取り巻く状況が厳しくなっている現在、そしてよりサービスの質を向上させるためにも、生産性について真剣に検討することは重要です。
利用者も具体的にどんな取り組みがなされているかを知ることは大切です。
【Youtube】でも解説しています
介護現場における「生産性向上」↓
生産性の向上がなぜ必要なのか?
目的①:経営の安定化
老人ホームなどの介護施設は、当然、運営を続けていくために収益を出す必要があります。
生産性を向上させることによって、無駄なコストを省き人件費を抑えることができるようになります。
それにより、安定した経営ができ継続的に介護サービスを提供する基礎を据えられるのです。
目的②:設備や人材への投資
また、削減できたコストを設備施設の充実や、人材への投資に充てることができるようになります。
これは結果的に利用者へのサービスの質を押し上げることにもつながります。
生産性の向上とは、サービスを切り詰めることではなく、より良いサービスを提供するために行うものなのです。
入浴設備やベッドなどの設備を改良することによって、より入居者が安全かつ快適な生活を送れるようになります。
また、防災などの点でより充実した体制を採ることによって、入所者と職員の安全を図る点でも役に立ちます。
目的③:働く人の負担軽減
作業が簡素化されることによって、作業量そのものが減り負担が軽くなります。
また、ロボットなどの導入によって、身体的な負担を軽減することも可能です。
その分、一人一人へのケアを充実させることができて、やりがいや安心感を得られるわけです。
職場環境が改善していけば、離職を予防したり、新たに介護の職に携わる人材も増えるかもしれません。
介護業界の人材不足はとても深刻な状況ですので、働く現場の負担を取り除き、より多くの人にとって魅力的な労働環境とすることは、これからの日本の介護には欠かせない点でもあるのです。
介護現場における「生産性向上」とは
その①:テクノロジーの活用
厚生労働省では、介護サービスの生産性向上に向けた取り組みとして、テクノロジーを普及させることを重要視しています。
たとえば、
入居時のベッドなどに見守りセンサーを設置
→離れた場所にいる職員が状況を把握できる
職員用のインカムの導入
→職員同士が情報を瞬時に共有でき、連携がしやすい
介護ロボットの開発も進んでいますので、ある程度のコストがかかるとはいえ、こうした設備を導入することによって、職員の負担を軽減できる可能性が高まります。
その②:業務の電子化電子化
こうした介助作業についてのサポートと同時に、事務作業の負担軽減というのも軸となっています。
各種書類やコミュニケーションのための活動を電子化することで、ぐっと作業は減ります。
手書きの文書をできる限り少なくし、システムを活用することで、文書処理がかなり楽になります。
情報の共有もスピーディーになりますし、人的ミスが減るので、効率的な引継ぎや伝達が可能です。
その③:手続きの簡素化
様々な手続きや、提出書類などを簡素化することも一つの動きとして見られます。
介護事業に関しては、いろいろな届出や申請、情報提供が求められ、本来の業務以外の手間が多くかかります。
こうした作業を簡素化することで、職員の業務量を減らせるのです。
その③:ローカルルールの解消
また、いわゆるローカルルールを解消していくことも、生産性向上に役立つものとして見られています。
もちろん、地域によって風土や生活習慣、商習慣などが異なりますので、ある程度の地域特有の指針があるのは仕方のないことです。
しかし、それが大きな縛りとなって業務の妨げとなることもありますし、他地域の人材や事業者が参入するのに支障となることもあります。
そのため、全国で統一されたルールのみを用いて、明確な指針の元に介護施設が日々の業務を行っていくことが重要になってきます。
こうした動きは、それぞれの介護事業所単位で努力して行えるものもある一方で、自治体や政府が主導して改善していかないとできないものもあります。
特に、介護業界の将来を考えた場合、国や自治体を挙げての取り組みというのは非常に大きな意味合いを持ちます。
愛知県名古屋市は先進的な技術に優れた地域であり、実際に介護ロボットの開発や導入を積極的に進めている企業も見られます。
こうした点でリーダーシップを取り、介護事業における生産性向上を引っ張っていくことが期待されています。
「生産性向上セミナー」の内容
こうした取り組みを介護施設が具体的に取り組めるように、生産性向上セミナーが各地で開催されています。
厚生労働省の後援を受けて実施されているものでは、施設の経営者や幹部、現場サイドの管理者などが対象者として参加することができます。
このセミナーでは、講演からスタートしワークショップ、まとめという形で学びの場が提供されます。
介護現場の実情を踏まえた上で、どのような問題が浮き彫りとなっているのか、どんな点を課題として取り組んでいくべきかなどの内容が扱われます。
そして、これからの日本の状況に対処するために、テクノロジーを活用した生産性向上を進めていくことが強調されます。
具体的にどんな施策をすることができるか、業務改善を現場の職員や施設管理者という立場からどのように行えるかを考えます。
こうした知識を捉えた上で、参加型のスタイルで検討していきます。
課題の洗い出しや実行計画の策定などを話し合いで考えていき、より良い結論に至れるようにサポートします。
この流れで、小さなグループに分かれてワークショップを実施します。
それぞれのグループが、介護施設を運営する法人であるという想定で、問題の原因やそれぞれの立場でどのように解決策を見出せるかなどを、実践的に検討していきます。
こうして、大まかな課題をより具体的な内容に当てはめることによって、実際に現場で活用できるノウハウとして吸収できるのがメリットです。
このようなセミナーを行うことで、現状維持ではなくそれぞれの施設でどのように業務効率を上げ、サービスの質を底上げしていけるのかを具体的に考える機会を与えられます。
また、政府主導で取り組んでいる施策を知る機会になったり、先進的な取り組みをしている他事業者から学ぶこともできるのです。
【おわりに】
少子高齢化が急速に進んでいる日本においては、介護現場の生産性向上というのは避けて通れない道となっています。
様々なアプローチの仕方がありますが、中でもテクノロジーを活用し現場の仕事を効率化していくというのは、大きなポイントとなります。
結果的に、こうした取り組みは職員の働きやすさをもたらすと同時に、利用者の方々の快適さや安全をより強くするものとなります。
多くの人たちにとってメリットとなる動きですので、しっかりと介護施設が果たしている役割を認識して注意を傾けるのは重要です。
日々、最新の情報に触れるようにして、より良い介護サービスがなされる取り組みについて知識を深めていきたいものです。
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