

認知症カフェはオランダの「アルツハイマーカフェ」やイギリスの「メモリーカフェ」をモデルにしています。
厚生労働省が2012年にオレンジプランを策定し、それ以降から日本でも認知症カフェの設置が始まりました。
オレンジプランは7つの柱からなっており、その1つの柱である「認知症の人の介護者への支援」の中で認知症カフェの設置を推進しています。
厚生労働省によれば、認知症カフェとは、認知症の人やその家族、地域の人々、専門職など、認知症に関心のある人たちが集まり、仲間づくりや情報交換をする場所です。
26年度の実績調査では、41の都道府県に655のカフェが設置されています。
認知症カフェを設置・運営しているのは、多くの場合で地域包括支援センター、介護サービス施設や事業所です。
その他に社会福祉法人や認知症疾患医療センター、NPO団体が運営している場合もあります。
さらに、認知症の方自身が主催し、そのご家族や支援者が運営をサポートしているケースもあります。
地域包括支援センターは自治体が設置しているもので、センターには看護師もしくは保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが配置されています。
介護だけでなく福祉や医療の面からも、高齢者とその家族を支援し、地域の窓口となっている機関です。
たとえば、むつ市地域包括支援センターみちのくでは、むつ市からの委託を受けて2018年度から「認知症カフェまるめろ」を月1回開催しています。
飯能市の地域包括支援センターでは認知症カフェ「ひだまりカフェ」を市内9か所に設置しています。
静かな山間にあるカフェやマクドナルドの一角、飯能駅近くのカフェなどで認知症ご本人やご家族などが気軽に集まっていて、開催の頻度は月に1~2回です。
全国のNPO法人による認知症カフェも数多く設置されています。
例えば神戸市にあるNPO法人「出会い」では子供から高齢者まで楽しめる「認知症カフェサロンDeai」を運営しており、料理教室やコンサートも開かれています。
別のNPO法人であるヒューマン・ケア支援機構でもオレンジカフェ静岡 を毎月第3日曜日に開催しています。
認知症の方とそのご家族、認知症に関心のある方が参加可能です。
認知症カフェの運営と接客は若者ボランティアが行っており、若者と高齢者が触れ合い相互に理解を深める場にもなっています。
オレンジカフェ静岡では特別養護老人ホームの施設長の講話なども聴くことができます。
社会福祉法人が設置しているケースでは、京都の社会福祉法人「京都市左京区社会福祉協議会」が「おれんじサロンさきょう」を運営しています。
開催は毎月 第2 木曜日の 13: 30 ~15:00で、場所は左京合同福祉センターの3階会議室です。
参加費は無料で歌や体操、ゲームを楽しんだり、茶話会などが開かれたりします。
その他にも、もの忘れ相談や外出に関係した相談にも応じてくれます。
認知症カフェには、認知症の方やそのご家族はもちろん、認知症に関心のある医療や介護関係の方、一般の方など誰でも参加できます。
ご家族と一緒なら認知症の方も安心して参加できますが、ご家族の誘いに応じない場合は、ご本人が信頼しているヘルパーさんやお友達、近所の方に一緒に参加してもらうようお願いすることも可能です。
また、認知症カフェには認知症サポーター養成講座や認知症カフェボランティア養成講座を受講した人たちが参加していることもあります。
もちろん受講していない場合でも参加はできますが、受講していれば学んだことを伝えたり、認知症の方やそのご家族の気持ちをよく理解するのに一層役立つでしょう。
どんな方が参加しているかという点に関して、守口市のケースをご紹介します。
守口市の「ぱいんカフェ」は認知症の方やそのご家族や友人をはじめ、認知症に関心があるなしにかかわらず、地域住民の方が誰でも参加できます。
その他に参加しているのは地域包括支援センターの方や専門職の方などです。利用料は無料です。
「ヴィオラの会」には認知症の方とそのご家族、民生委員、ボランティア、地域住民、専門職の方が参加しています。
参加費は飲み物・お菓子付きで100円です。
「ラガール・カフェ」には認知症の方とそのご家族、専門職の方、地域住民の方が参加しています。参加費は飲み物・お菓子付きで100円です。
全国にある認知症カフェではほとんどの場合申込制ではなく、その日に直接行って参加できるようになっています。
詳しくは認知症カフェを運営している地域包括支援センターやNPOなどで確認してください。
認知症の方は、自分の病気についてなかなか自由に話すことができず、ストレスを抱えたり引きこもったりすることがあるものです。
でも、認知症カフェには自分と同じ認知症の方が集うので、自分の症状について話しやすくなりストレスを発散させることができます。
また、他の人の経験を聞くことによって引きこもりがちだった人が勇気をもらって外出に積極的になるということもあるでしょう。
認知症カフェでは一緒に料理をしたり音楽を聴いたり歌を歌ったりと様々なイベントが開催されるので、新たな趣味を発見できることもありますし、脳を活性化させる機会にもなります。
また、医療関係者や職認知症サポーターの人たちとも知り合いになる機会が増えるので、支援をしてくれる人がいる、自分一人で悩まなくてもいいということがわかるようになります。
認知症カフェに参加すれば、専門家から実際的なアドバイスを聞くことも可能です。
専門家は少しの変化にも気づきやすいので、思わしくない兆候を早期に発見して適切な治療を受けるよう促すこともあります。
自分や家族では気づきにくいので専門家のサポートは認知症の早期発見や改善に大いに助けになるでしょう。
自分がコーヒーやお茶菓子を提供する側に回ることもあるので、世話をされるだけでなく自分を役立てられる機会が得られて、自尊心を高め喜びを味わうことができます。
認知症の方の世話をしているご家族にとっても認知症カフェは助けになります。
同じ境遇のご家族と情報交換ができるので、どのように対処したらいいのかヒントをもらえることがあるでしょう。
また、悩みを打ち明けることができるだけでも心が軽くなり、介護を続けていく力を得られます。
専門家からのアドバイスや励ましの言葉も聞けるので、正しい取り組み方ができるようになりますし、心理的な負担を軽減することができます。
認知症カフェは認知症のご本人にとっても、そのご家族にとっても、メリットが多い空間です。
認知症カフェを探したい場合には、まず地域包括支援センターへ問い合わせてみてください。
また、ネットで検索して探すという方法も可能です。
ただ、実際の雰囲気やスタッフについて知るためには電話で問い合わせたり、まずご家族が見学してみるのがいいでしょう。
参加費用は無料~2,000円程度なので、月に1、2回なら無理なく参加できます。
2025年には認知症の人が700万人を超え、65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になると予想されています。
ですから、現在問題なく過ごしているご家族であっても、今から認知症に関する理解を深めておくのは大切なことです。
認知症カフェに参加することは、その点で大きな助けになるでしょう。
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